第56章 プール大会
実際に今、多くの人がケイトから良い影響を受けている。
特に、どんなに小さな物事であっても、何にでも真剣かつ全力で取り組み、それでいて気配りも忘れない姿勢に感化されている人が沢山いる。
ケイトを見ていると、自分もちゃんとしなければと背筋が伸びるようだ。
そして彼女の一貫した迷いのない言葉や行動が、何度でも僕の魂を惹き付ける。
竹を割ったような清々しい言動を目の当たりにする度に、憧れの眼差しを向けずにはいられない。
君のようになりたいと思う。
勿論時には迷うこともあるだろう。それでも内なる葛藤をほとんど外に出さず、毅然とした態度を取れる人だ。
だから僕の目には、常に一本の筋が通っているように見える。
世間の風潮に流されず、相手の内面をしっかりと見て、自分達がどんな関係を築いていくべきか模索していける。
彼女が自分を偽らず相手を色眼鏡で見ない為、自然体のままお互いを受け入れ合える関係でいられた。
そのお陰で僕は救済され、幸福のきっかけを運んできてくれた。
それらの在り方が理想だと…最近では実しやかに囁かれている。
ケイト「…ど…」
『?』
ケイト「…どうしても嫌なら…変えるぞ?//」
そっぽ向いたまま腕組みし、気まずそうにごにょごにょと呟くケイトに対し…
『ぷっ』ぷるぷる
アルテミス「ふっ…ふふっ^^」
フィン「は…ははっ^^」
同時に吹き出し、肩を震わせながら笑みを押さえていた。
ケイト「?」眉顰め&怪訝睨み
『あっはっはっはっはっはっはっはっ!^^//』
ケイト「!?;」ぎょっ!
『あっはっはっはっはっはっはっはっ!^^//』
ケイト「な、何で笑うんだよ!;
そんなおかしいことしてないでしょ?!;」あわあわ
アルテミス「ふふふっ…
本当に…お前は、人のことばかり第一とするのだな^^//」にこにこ
フィン「ああ、本当に…そこだけは変わらないね^^//」くすくす
彼女の人となりを知っているが故に、僕等は笑い合った。
こうして…エルソスの遺跡での争いは幕を下ろした。
アンタレスはアルテミスと命の繋がりも分かたれた上で倒され、魂を浄化した状態で天へ還された。
魔石とドロップアイテムに関してはアルテミスへ譲り、世界の破滅は前段階で防がれていた。
だが――これで終わりとはいかなかった。