第8章 死闘と目覚め
頭に声が響く。自分の声でもオッタルの声でもない。
フィン『いいかい?ケイト。
もし君よりも強い相手と遭遇した場合は、自軍が複数でないのなら逃げるんだ。
圧倒的に強い場合は特にだ。
是が非でも逃げろ。生き残ることを最優先に考えるんだ』
昔に講習の際に掛けられたフィンの言葉が頭をよぎる。
ダメだ…逃げられない。
ごめん、フィン…言い付け、守れそうにもない……
ケイト「くっ!!」ばっ!
ぎんっ!!
オッタル「力尽くで奪わせてもらう。
その為にここまで来た!」ぶおんっ!!
受け止めた次の瞬間、刃を引き戻しながら横薙ぎに振られた。
咄嗟に伏せて避けたものの、さらに上から振り下ろされる。
同時に横っ飛びで辛うじてかわした。
が、オッタルは逃がすまいとついてきている!
どうしてこうなった?中層に行ってから戻ってくるだけ。
そう、それだけのはずだったのに!
オッタル「来い!あの方の寵愛に応えてみせろ。
お前の力を俺に示せ!」
ダメだ。身体が震えて思うように動かない。
身体が竦んでいる。行きたくない。帰りたい、はず…
なのに、何で恐怖に縛られて、動けないでいるんだ!?
ケイト「………」がたがた
オッタル「来ないのならばこちらからいく!」ばっ!
ケイト(ヤバイ!受け身!)さっ!
ぶおんっ!!!!
オッタル(咄嗟に飛びながらいなしたか…回避技術は大したものだな。
速さも中々なものだ。俺よりも速い…が、対処しきれないほどではない)
どごぉっ!!!!!!
圧倒的過ぎる力に、私の動きは回避ばかりになった。
大剣は重い。
だというのにその動きは…アイズ並みに速い上に、重過ぎる。
まともに受け止めれば二重の意味で、衝撃波をもろに食らわされる!
オッタル「お前はまだ原石だ」
ケイト「!」
身体の震えが止まらない中、三段階目の魔力の体内操作までを展開させながら避け続けていた。
その時、声をかけられた。
それが示すのは余裕。まだ話せるという意。