第56章 プール大会
ケイト「その……えっと…
(どう言い出したものかなあ…;)
アルテミス、その…皆はだね…;」
アルテミス「大丈夫だ…言わずとも、わかっている」
ケイト(いや、生きてるなんだけど!!?;)
アルテミス「だが…ここから……離れたくないっ」
絞り出すような震えた声で、跪いたまま団員をそっと抱き締めた。
哀しそうな、悲痛な面持ちで語るそれに…言い出す隙も無いそれに、僕達は言い出せずにいた。
ケイト「………正直に言おう。
生き返らせた、だから気にするな」
アルテミス「瞠目)!!
そんな…ことが、可能なのか?」
ケイト「ああ。
空間ごと囲って、時間ごと巻き戻らせて強制的に死んだ直後へと戻した。
後は蘇生するだけ。簡単なことだろ?」
アルテミス「……本当…なのか?」わなわな
ケイト「確認してみろ。
呼吸も、心臓の鼓動も、ちゃんとあるだろう?」
さっ!
その問いかけの直後、アルテミスは腕の中で抱き締めていた眷属の胸へ耳を当てた。
「すーすー」
ドックンドックン
心臓の鼓動、呼吸音、生きている温もり…
それらを知り、ようやくアルテミスは安心したように表情をほころばせ…静かに笑みを浮かべた。
アルテミス「ああ…
ああっ!;」頷&ぽろぽろ
不意に零れ落ちる涙…
それは先程までの悲痛な慟哭に伴うものではなく、安堵と果ての無い喜びによるものだった。
ケイト「…さて、と…問題も解決したし……
帰るか!」
フィン「…ああ」
アルテミス「……私は…ここに残る」涙目
ケイト「うん、それがいい。
いっそこの村を拠点に冒険者達に弓を教えるなんていうのもありかもな^^
ワープゲートをつくって、すぐ移動できるようにするからさ」
アルテミス「……そうだな…
だが…この多大な恩を、どう返せばいい?」
ケイト「何言ってるんだ?」首傾げ&眉顰め
アルテミス「?」訝し気
ケイト「困ってる人がいたら助けるのは、至極当然だろ?
ましてやついさっきまで遊んでいて、余裕がある時なんだ。
私が自分で選んで、助けたいと願った。だから…
自分がやりたいようにやっただけ、その結果が今あるこれらだ。
だから…深く気にすんなよ!な?^^」にこっ
屈託のない笑みで問いかけるケイトに、アルテミスは動揺したように目を見張った。