第56章 プール大会
お互いに、互いへ、真っ直ぐに愛をもって接し、それがずっと続いていった…
だからこそのことなのだが、気付けば当たり前のこととなっていた。
「互いがいれば、生きてさえいれば、幸せでいれば、それだけでいい」という想いへと、次第に変わっていった――
前世の記憶が蘇った後、互いがその人だと知れ、より一層想いは強まった。
会いたくて会いたくて仕方なかった。
その人だと知れたことが、何よりも嬉しくて堪らなかった。
死による別れも、当時の苦痛も慟哭も…何もかもが、互いの愛しさを増させる一方だった。
だからこそ…何度でも想う。
何をもってしても守りたい、救いたい、助けたい…それほどに、掛け替えのない存在なのだと――
何度でも何度でも、危険な目に遭う度…僕もケイトも、甚く痛感し続けている。
そのような関係を共依存とも言うそうだが…そんな関係など、とうの昔に超えている。
ケイトはもう、僕の一部であり…ケイトもまた、僕を自身の一部だと想っている。
自分という人生として、既に捉えている。
いや、捉えて放さないのだ――
そういう所まで来てしまっていた、否…共に選んで、自らここまで来ている。
だからこそ…彼女は言った。
「ただいま」と、「ありがとう」と……
『一度は闇に飲まれかけたが帰ってこれた』と…
感謝と共に、『フィン(僕)の腕の中へ帰ってきたよ』と
僕の腕の中へもぐりこんで、熱く抱擁を交わしながら帰還を笑顔で報せてくれた。
そのことが嬉しく、喜ばしく…互いの温もりに、身を埋め合った。
しかし、それに集中し切るわけにはいかない…
アルテミスが放置されたままだということを、忘れてはいけない;
お互いが互いの温もりを堪能しつつ
僕は辛うじて残った理性でギリギリ踏み止まり…アルテミスの方を向いた。
アルテミス「ドキドキドキドキ)////」かああっ!←未だ蒸気が溢れ中
テロップ『どちらにとっても雰囲気台無しである;』