第55章 事件
他にもこんな記述があった。
『どれほど苛烈な目に遭おうとも、どれほど痛め付けられようとも…
痛め付けて快楽を得ることは、あってはならない。
その想いは、憎しみしか生まない。
闇しか生まず、邪気しか生まず、闇へと落ちる。
いずれ神の力へ至ろうとも、それは終末神と同じく無へと誘(いざな)われる。
それを救ったのは…ケイト(希望)。
闇へ落ちた遺志を、神の亡霊を…彼女が浄化し、清浄な存在へ還した。
それは神々しく、まさに…カタルシス(精神の「浄化」)そのものだった』
英雄譚の題名はUnlimited←1657ページ参照
版ごとで内容は異なり←1483,1484ページ参照
6月11日に正式に終末神を倒したことが明かされた←1655ページ参照
『世界三大絵画』として遺された、光の粒が集まっていく軌跡を描いた絵もまた、発売された本へ付属されており←1461,1669ページ参照
それもまた非常に有名になり、歴史として記されることとなった。
『例え何かが終わったとしても、それは終わりではない…
ただ一つ、区切りがついたというだけに過ぎない。
全て…始まりへと繋がってる』
彼女が残したその言葉もまた添えられたそれは、「人としてのあるべき形を模索しようとする姿勢を持つ大切さ」を教える教材として教材に添えられることとなった。
気の持ちようも含め、欲に振り回されず制するのでもなく、寄り添い共に生きることもまた人生なのだとも記されていた。
いっぱいいっぱいの時こそ周りを見据えるべき。
しかし、余裕が無くて周りへ当たり散らしたくなるほど辛い時は言葉にしてぶちまけるか、相談して発散に付き合ってもらうか、部屋に閉じこもってぐっすり寝て力を蓄えるか…
人が人へできるのは、支えることだけ。
助けると言っても、直接的な助けとなれることなど早々ない。
全てを理解され、言わずとも受け入れてくれる者などいない。酷い目に遭っているからと助けに入る者も居ないことの方が限りなく多い。
理解する為にこそ言葉がある、理解してもらう為に言葉にして発し伝えようとする。
しなければ理解など得られないし、人柄を知られることさえも無理だろう。
様々な人が密接とは言えない、間接的に繋がり合っている。
彼女が得た学び、世界の歴史、真理が記された。