第55章 事件
6月20日、本屋はこれまでにないほどの賑わいを見せていた。
「1つ下さい!」
「押すなっての!!」
「こっちが先だ!!!」
店員「順番!!;順番を守って下さい!!;」
今日はUnlimited、最終章とされた本が販売されていた。
それまでの謎、疑問が明かされた総集編となっている。
そして…書き出しはこう始まる。
41章(1453ページ以降),1461,1669ページ参照↓
『6月7日、14時35分過ぎ…
昼という時刻にも拘らず、世界は暗影へ包まれた。
神の力の中でも闇へ堕ちた力、世界を滅する力が解放され、世界を包み込んだのだ。
夜のように暗く、冬のような凍てつく寒さが辺りを覆い尽くす。
しかし…そんな時……
微かな光の粒が、光彩陸離の如き光と化して彼女の全身を包み込んだ。
オラリオでもまた…ケイトを慕う者達から光が溢れ、粒となりてケイトのもとへと向かった。
聖なる想い…『神気(しんき)』こそが「神の力(アルカナム)」の源。
その根源となる魂、霊体が共鳴し合うほどの『強烈な神気(想い)』によって…「神の力」が顕現した。
そしてそれは…終末神、世界そのものへ終末を齎そうとした神が、世界そのものを包み込むよう展開していた『闇』を照らした。
世界に滞る暗影、暗闇を照らしたのは…これまで、この世界に生まれ落ち、脈々と受け継がれてきた命。
それらが紡いだ、死してもなお今へと繋げた歴史、喪失が故に苛烈さを増す『強烈な想い(愛)』、護り抜こうと願う心…
神の力とは……
それらが生み出した『奇跡』とも言えるものだった――
今もなお…争いは続くだろう。
個が個である為に、我を貫く為に、ありのまままでいる為に、自らの私欲の為に…
しかし…人を想うことだけは、無くしてはいけない。
それが…彼女の生き様が記す『道標』である』
それは後に反響を呼び
出産した後のこと、コクーンのことも記せ!続編希望!と世界中から要望が募ったという…
それから1か月後に日常編となる続編が出版されるのだが、それを知る由などなかった。