第55章 事件
ケイト「フィンが狂った!!;飛び込み事件だあああ!!」
フィン「何でそうなる!!?;」ガビーン!!
テロップ『楽しそうだった』
魚屋の店主、商店街の頭曰く…
ケイトのこんなセリフが気に入っていたらしい。
「お金?気にしなくていいよ。
命は金じゃ買えないだろ?安いもんだ。
それに…したくてやったことだ!だから気にすんなよな!^^(にかっ!」だと。
歯牙にもかけず、気にも一切せず…
やりたいからやった、と見返りを一切求めず…
求めるとしても「お前達が幸せになることだ」とまで言い出す始末……
だからこそ――
「だからこそ、オラ達より先に死ぬんじゃねえって言っといてくれねえか?
先に死なれたら…やり切れねえよ!;;」ぽろぽろ号泣
これほどまでに…人の心を惹き付けている。
恩人に死んで欲しくない…そう思うのもまた至極当然。
と同時に…僕と同じようにケイトを心から心配し、気に掛け、想う同志がいた。
僕一人ではないのだと、君を求めている人は他にもいるのだと。
ただ、伝えたかった――
それだけだというのに…何故事件と捉えられてしまったのだろうか…;
納得がいかない!(ぎりっ!)
テロップ『30分も何も言わず一心不乱にキスし続ければ当然だろう』
ただ…そう、伝えようとしただけだというのにっ!;
テロップ『全く言えてもいないし伝わってさえもいない』
・・(イラッ!)
テロップ『狂ったのだと勘違いされて当然だ』
僕は即座に目障りなテロップだけを殴り飛ばした。
そして…ケイトにそのまま言葉を伝えた。
すると…言わずもがな、心底嬉しそうに笑い…涙し…僕の唇へ吸い付いてきた。
アルとディが真似しようとするが、即座にアイズとリヴェリアが抱き上げて1階へ降りていってくれた。
そうして…2人きりの僅かな時間を共に、抱き締め合ったまま過ごした。
それだけで十分だった…
腕の中の温もりがあり、共に居られる…生きている……
それだけのことが…前世では叶わなかった。
前々世でも共に居られた時間は短く、叶うことはなかった。
だから…喪わない。喪わせない。
この時間も、共に居られる時も…温もりを重ね合うことも……
そう願いながら、共に離すまいと抱き締めた状態のまま…数時間過ごした。
ベッドの上で、寝入りながらも…