第55章 事件
「全部タダで持ってきな!!」
フィン「いや、流石に悪いから断るよ;」
「じゃあ、その…何だ…サイン、もらってきてもらっちゃくんねえかな?(ごにょごにょ)
3匹タダにすっから」
…どうやら、僕のいない所でもケイトは絶大な支持率を得ていたようだ。
「座れ座れ。世間話付き合ってくんろ!
元々オラんとこの領主は、言葉巧みに甘いそれば囁いて金ばむしり取んだ。
もう二度と人なんて信用するかって思った。
赤ん坊と嫁っこ抱えて、どうしだら生きられっか…いっそ、一家心中しかねえって思っただ。
んでも…そんな時、助けてくれたんが領主様だ!
そんな方からお金なんざ取れるか?!」
フィン「いや…領主や領主の夫は王族と同じだから、領民の見本になるべきで;」
「んな堅苦しいことば聞いてねえよ!!!;」
フィン「いや、それでも礼儀はね?;」
「んだから堅っ苦しいことばなしで話してくれや!!
っつーよか、変な噂が流れてんだ」
フィン「?何だい?」
「領主がグルだって噂ばら撒いてる馬鹿がいんだ。
んでも、俺ぁ騙されねえかんな!
そもそも今んとこの領主とグルなら、元々の領主様が迎えに来ようなんてしねえ。
頭回しゃわかんのに、肝心なこと気付けてねえ。学習できてねえんだ!
で、それで訴えかけて…甘い囁きにやられた馬鹿は消えて、二度と戻ってこなかった。
多分、殺されかけたっつってた。
でも助かったのは…隠れて護衛についてぐれてたガネーシャ・ファミリアがいたからだ。
それも、今の領主様の意向らしい。どしても…死んで欲しくねえんだと。
んだから…尊敬してんだ。
路頭に迷って、明日も知れねえ身だった。身に覚えのねえ借金騙されて背負わされて、もう駄目だって思った。
ここで…好きな漁業や販売しねえかって言われた時は、死ぬほど嬉しかった。
と同時に、すっげえ警戒した。でも惜しみなく金渡してくれたし、借金も何も言わずに肩代わりしてくれた。
借金が全額払われて帳消しになってたのを知ったのは、騙した輩から土下座で謝られた時だった。
だから…さっきも言ったように、ここには…本当に感謝してんだ。
給金もいいし、居場所もいいし?
商店街っつうんだっけ?
そこの頭に押し上げられてた!^^」
ぽんっ!←膝を打つ
店の中へぐいぐい引き上げられるや否や、矢継ぎ早に僕へ話し出した。