第55章 事件
全身の傷がすっかり癒えたケイトがいた。
ロキから聞いていた。
フィンもまた、神の力を得たことを。
ケイトと性質が同じではないものを手に入れたことを…
今までケイトのもの以外では見たことが無いそれを…その力を、目の当たりにした。
それは…ケイトのグラン・バースト(1818ページ参照)とは全く違う…
圧倒的質量で吹き飛ばす荒々しいものではない…
繊細かつ、分子所か空間ごと埋め尽くしていく密度と強固な結びつきを感じた。
非力が故に力や物質の奥まで入り込み、事象の発生源まで滑り込んで直接働きかけ、消失させる。
事象そのものの消失――スタント・ゼロ。
それがフィンの神の力なのだと、私は後になって知った。
それも…自らが拒む結果の礎となるそれを纏めて、分子レベル以上…空間以上にまで働きかけているように見えた。
フィン「…大丈夫か?」
ケイト「ん…あり、がと。
(はっ!)それよりもアルとディは!!!?」
フィン「自分の心配をしてくれ!!!!」
ケイト「はい;ごめんなさい;」汗
フィン「致命傷を負っていたという自覚がまるで足りてない;
はああっ」
アイズ「うん…フィンの気持ちは、よくわかる」
ケイト「ぅっ…;
ちゃんと…頑張っては、いるんだけれどね?;」
フィン「頑張りが足りてないと言いたいんじゃない;
ただ…自分にも向けて欲しいんだ。わかるね?」
ケイト「わかってるけどそれが1番難しい;」
フィン「知ってるよ。
だから徐々にでいい。
少しずつでも進んでいるんだ、急に出来ろというつもりはない。
だが、自覚を持って欲しいんだ。
自分の命は大丈夫。
そうなってから人の心配をして欲しい。
今にも死に掛けていたのに人の心配をされたらどう思う?」
ケイト「…困る;」
フィン「なら自重してくれ;
少なくとも…満身創痍の状態だったにも拘らずなんてことじゃなく、大丈夫だと言える状態になってからにして欲しい。
人への心配は。
…わかるかい?」
ケイト「が…頑張る…わかる」ぷしゅううううう←いっぱいいっぱい
フィン「寝起きだからか;
理解するのでいっぱいいっぱいのようだね;)
わかったならいい。
くれぐれも、繰り返さないでくれよ?」
ケイト「はい!」気を付け
アミッド「ちゃんと横になってて下さい!!」激怒