第54章 市民カード
コクーン内で緊急時に搬送される場所は、中心地エリアの緊急治療場。
緊急時のみ繰り出される光速バスによってすぐさま運ばれるのだが…
アミッド「多過ぎます…;」
評判があまりによく、観光がてらに寄る者が多い為…場所が手狭になってしまっていたのだ。
その為、雲王国エリアに新たに治療場を設け移転することにした。
建築及び庭面積は9万9千平方m、敷地面積8万平方mの11階建て。
手術科の広さは2500平方m、手術室が11室ある。
処置が異常に著しく速く、的確で間違いが一度たりとも起こらないと絶賛の評判を受けている。
と言うのも三重チェックを徹底しており、間違いがないかよく吟味した上での体制を整えているかららしい。
必要とされる内科、外科は勿論…
内科の中にも眼科や様々な部位別、臓器の科に加え、外科の中にも整形外科、手術科等々……
その中に新たに生み出されたのが…再生医療科である。
失った腕や足が生えてくるというものであり、臓器にも同様のことが言える。
欠損・損傷・機能低下した組織や臓器を、患者の体外で培養した細胞や組織を用いて修復再生し、機能を補完する医療。
それが再生医療と言うそうだ。
ミアハ「なるほど…」
ナァーザ「…人体実験を受けて成功すれば万々歳。失敗すれば…」
ケイト「保証金はまた別に出すよ。
ポーションと製薬依頼込みでの契約金、それに加えて治験に参加してもらう。
成功すれば腕は元通り、失敗してもお金は返すし義手も保証する。
どうだ?
どう転んでも、どっちにも落ち度はないつもりだけど」
ナァーザ「…」
ミアハ「ナァーザ…これもいい機会だ。
お前には苦労を掛けてきたわけだし…私もできれば、腕が元に戻って欲しい。
ああ、再生医療の初成功人として名を挙げれるかもしれんぞ?
いい宣伝にもなる。
お前なら…そう言い出すと思っていたが」
ナァーザ「…怖くない、わけじゃない。
冒険者でも…できるのか?」
ケイト「…多分、いや間違いなく…腕自体の培養は成功すると言っていい。
繋げるのにも相当細かい作業がいるが、神経同士を繋げる手術も既に修業過程を経て太鼓判を押せるレベルに達している。
…もし違えれば、借金の倍は払うよ」
ナァーザ「…受けたくない…怖い」
ミアハ「…ナァーザ」
ナァーザ「でも…」