第54章 市民カード
ケイト「権力も地位も名誉も要らない。
人は皆、生まれながらにして平等だ。
死ぬし病気にもなるし怪我もする。
思想、感じ方や視点、在り方が違うだけ。
その人の歩んできた道のり、人生があるのだから違って当然だ。
その道に…「同じになれ、心地いい形になれ」と強要など誰にもできはしない。
ある程度耳を傾けて、情報を得て、その上で何を為すかはその本人次第でしかない。
それも理解せず、こちらが正しいという主張と共に引き込もうとする醜悪な姿勢にはうんざりなんだよ。
何を正義とするか、悪とするかは本人次第だ。
本人にしか決められない。
決めさせず、意思を奪い、洗脳し、操り人形にし…せせら笑う輩になんざ成り下がりたくはない。
私が欲しいのは…自分の目で見て、聞いて、何を為したいか決めて動ける人材だ。
そうでなければ、間違った時に正してくれないだろう。
誰だって間違うのに、それを示してくれる相手もいなければ…
いつまでも間違ったまま気付かないことだって在り得てしまうだろう?」
フィン「君の言いたいことはわかるよ。
でも…それが悪意があるか無いかを示す機能と、どう繋がるんだい?」
ケイト「…どんなことがあっても、正直に示すことが出来る機能だ。
情状酌量の余地、それなりの事情があっての嘘なら流すよう決めてるけれど…
「お金は裏切らない」という言葉があるが、それ以上に信頼できる存在が無い。
それがあったとしても、盲目なものが非常に多い。
真理も、真実もわからないまま…信じるしかない。
何でだろうな…心許ないと感じてしまう自分もいる。
だから…こいつだけは絶対裏切らない存在を作った。
ワザとした悪質な行為なら赤できちんと示す。
やっていい行為とダメだという行為、人付き合いにおいて相手にとっては死んでもして欲しくない行為。
これから道を共に行く上で…人と人とが付き合っていく上で必要だと思った。
三善美を記したとしても、受け入れた人達の中に守らない人も出るだろう。
紆余曲折あったろうし、これからどんな間違いを犯すかなんて…先のことは皆わからない。
…自分の心を映す鏡が欲しい。
何より…いざという時の『最高の生き証人』だろ?」微笑
フィン「…そういうことか。
やっとわかったよ。なら否定する理由もない。
飲もう」微笑