第53章 メシア・デイ
名声や地位に縋り付くことなどない。
それは脆く、相手の認識次第で簡単に変わる。
だからこそ想った。思わされた。
たとえもし世界中から非難されようとも、ケイトのように返り咲けばいい――と
より強く憧れを抱いたのは…頑なとも言える、真っ直ぐに義を通そうとする態度。
人の風評に惑わされず、自らの目と耳で見極めようとする姿勢。
決して陰口を叩かず、同意も求めず、愚痴の範囲内で収めようとする言動。
頼らない理由が…すぐにわかった。
誰にも期待していない。抱けばより強い痛みとなって返ってくる。
それがわかっているからこその、頼るという選択肢の放棄。
それも…長年の周囲からの言動に伴う、悲しい習慣だと気付いた。
そうすることで…己の心を守ろうとしたのだろう。
ただその時を…乗り越える為に。極寒の長い長い冬を越える為に……
そうして――乗り越えたからこそ巡り逢えた。
逢瀬を果たし、初恋を知り、また結ばれた…
前々世、前世と続いて――
たとえ、どの世界であってもケイトがいれば…必ず結ばれようとしただろう。
そう思案して共にアルとディが修業していた場所へ戻る中、そこにはディしかいなかった。
ケイト「?ディだけ横になって寝てる」
それも僅かに浮いた状態で熟睡し切っており、風に流されるままになっていた。
フィン「アルの反応は…?」
そんなに遠くへは流れてはいないだろうと考えた僕達は
共に神の力を発動して読み取ろうとした所、あるものが視界に入った。
パレードの中央、そこでアルの頭がひょこひょこ出ていた。
その時、パレードの中央まで流されていったことに気付いた。
ケイト「ありゃまー。綺麗に担ぎ上げられたもので」←目の上に手をかざす
フィン「ん?
あれは…」
ベル「誰か…止まってえええええええ;」半泣
同じく人波に巻き込まれた結果、パレードの中央へ辿り着いたのか
アルの下にベル・クラネルまでおり、周囲に押し潰されないよう必死に両脇に手を入れて担ぎ上げていることに気付いた。
ベル・クラネルだけを範囲指定し、騒然としている彼のファミリアの者達も込みで僕らの近くへ瞬間移動させた。