第53章 メシア・デイ
誰かが…いつしか、誰かの救世主になる。
それは…誰しもに言えることなのかもしれない。
僕が、ケイトに出会えたことで――在りのままでいられるように……
「いつも仮面を被っているばかりではやりきれないはずだ。
そもそも、本当のお前は『そういう奴』ではないんだからな」
いつだったか、そうリヴェリアから指摘されたことがある。
恐らく…ケイトは、薄々感付いていたんだろう。
僕が本音を殺すように隠し、常に仮面を被り続けていることに。
立場や役割のことは十分理解できている、だがそれでも押さえ切れないものもある。
戦いたい。戦って勝ちたい。本物の英雄になりたい。
そんな想いが止められない。
そして、それもまた自分だと知っている。
たとえ見下されても、悪だと蔑まれたとしても…
それでも同じ思いを決してさせまいと、貶めてきた相手にさえも必死に貫き続ける。
その生き方は、誰にも真似できないわけで…だからこそ絶大な支持を現在進行形で得ている。
彼女の周囲では、一切許されなかったことだ。
誰一人として味方などいなかった。理解しようともせず、抵抗しないとわかれば蹂躙を続ける。続けて楽しいと感じる精神構造を持つ輩しか居なかった。
それでもなおケイトは決めた。己の在り方として貫くと――
有言実行、本当にそれを敢行し続けている。
今もなお…ずっと続けていくことだろう……
だからこそ英雄譚として目に見える形(文章)で残されたことで
人となりに対する理解を得、無用な誤解をされずに済んだ。
結果、返り咲き…ファンは急増、凄まじい量に達している。
その結果が…これだ。
『ケイト様ああああ!!』
ケイト「何がどうなってんのおおおおおお?!!・・;」
だだだだだだだだだだっっ!!
逃げる為に必死に走り回るケイトと、それを必死に猛追するファンが、土煙を共に上げまくっていた。
フィン「ん?そう言えばアルとディは…?」
ケイト「助けてフィイイインッ!!!;」
ファンからの要望はサインだったらしく、それを終えた後で2人を探しに回ることになった。
ケイトが言うには、あまりの大声とファンの気迫にビックリしたとのことだ。
ハンターのような眼だった為、非常に恐怖が煽られたと言う…;
まあ…気持ちはわからなくもないのだけれど^^;