第53章 メシア・デイ
彼女の場合は…未だ、感情が整理し切れてないのだろう。
いや……殺してやりたいという感情があまりに強く、それに振り回されているようにも見える。
ケイト「…耐えて、耐えて、耐え抜いて…
抵抗も反論もせず、やり返しすらもしない。
そんな状況に疑問も感じず、苦しみ続ける様を見て幸せを…喜びと楽しさを感じる精神構造を抱く者しかない。
ろくに疑問も、罪悪感も、心苦しさも、やってて何も感じてない。喜びしか何も感じていないのがすぐわかった。
私が出会ってきたのは…学校では、そういう人間しか居なかった。
まともな人がいるかと思えば保身の為に距離を取る輩しか居ないわけだし。
だからこそあの教育体制を取った。
弱者を虐げ、思うが儘に振る舞う横柄かつ傲慢な態度は罰則。
そもそもが、国内への侵入は聖別の結界で自動感知すると同時に弾く。結界で国内のも感知可能。
勿論、内に湧いて出た膿は国外へ追放し、悔い改めて今後二度としない未来が見て取れない限りは永久に国内には入らせない。
同じような想いを国民が味合わせられるのは耐えられないし、何より許せない。
そんな人間など、他人を傷付けて楽しみとする精神構造を持つ輩など、ここには必要ない!!
殺しても殺しても殺しても殺しても…全く足りない。
だからこその地獄落ちだ。
地獄に落としてもまだ足りねえ!
何億年も、人類が終わった時になったとしてもなお地獄に居続けなければいけないほどの業を背負わせる!!
気付かずにした数度の傷が、何年も痛め付けてきた傷と同程度レベルと判断する思考回路しか持たない輩だ。
仕返しと称して無抵抗な相手一人へ傷を付けた所で意に介さず、楽しみと感じる精神構造を持つような輩が…
何年でもし続けていられた人間が…今後二度と、人を傷付けずに生きていられるとでも?傷付けないよう意識したことさえもないのに?
はっ(嘲笑)
笑わせんな。
償いもくそもねえ、笑って横柄に生き続けていられる輩なんか地獄以外に行く場所なんてあるわけねえだろ!
あんな輩…何億回死んでも赦せるか!!!」
涙を浮かべながら…彼女は問うた。
こんな自分が、本当に好きなのか――?と。
震えた声で呟くそれは…
自分の中の何かを殺すかのように、言い聞かせているかのようにも見えた。