第53章 メシア・デイ
ケイト「フィン…私は、変わらないよ(真剣)
そこだけは、変えるつもりはない」
フィン「『そこだけは』、ね」苦笑
ケイト「うん!(真剣&頷)
それが…私が、私たりえる所以だから!!
誰に何と言われても、これだけは譲れない!
私が生きた証だ!自分で選んだ生き方だ!!
今まで得た凄惨な経験で学んだ、私が私である為に欠かせないものだ!!!」くわっ!!
真剣な表情で…これまでになく高圧的に叫んでいた。
それは畏怖さえも抱かさせるもので…
何億年経とうが、頑なにそう在り続けるだろうことが否応なく想起させられた。
フィン「…頑として?」
ケイト「頑!!」きっぱり
フィン「…ふふっ(くす)
実に…君らしい選択だね。
得るものは何もない。ましてや誤解されてひどい目に遭わされ続けるのがオチだというのに」
ケイト「それでもやる!決めた!!」ふいっ!!
フィン「…やれやれ…他は人に合わせようとばかりするくせにね」
ケイト「人を不幸せにしてまで得られる幸福なんてあって堪るか!!
一生やる!絶対やる!!!」
フィン「……散々に、踏みにじられてきたからこそ…か。
とんだ跳ねっ返りに育ったものだね」目を細め微笑
ケイト「はねっかえり?」
フィン「…活発で、じゃじゃ馬ってことだよ」
ケイト「頑固者の方がマシ」
フィン「でも嫌だと言えば止めるだろう?」
ケイト「うん。すぐにでも」
フィン「ほら」
ケイト「でも言ってくんなきゃわかんない」
フィン「…そこが自閉症スペクトラムの難点でもある。
けれどね…
君のそれは、美点でもあるんだよ」
ケイト「?…長所になり得るってこと?」
フィン「ああ^^(頷)
第一に…僕も、アイズも…君に救われた口だ。
僕自身、自分で時間を止めていた。ありのままという形を捨てて…
それまで是が非でも築き上げてきたものが壊れてしまうかもしれないと
名声に、地位に縋ってでも…何もかもを利用してでも、なろうとした。
一族の希望に…パルゥムの光に!
そうすることで…僕を身を挺して生かしてくれた両親に、応えたかった。
これ以上…落ちぶれて、無様な真似をする『勇気』の無いパルゥムを増やしたくはなかった」