第53章 メシア・デイ
一番驚いたのは…
ケイトの発言だった。
出会った頃…約3か月ほど前では、奥ゆかしく遠慮してばかりだった。
慎ましいとも言えるのだが、言いたいことも言えず相手の気持ちばかり優先しているようにも見えた。
だが…今では……ちゃんと、自分という軸を分析できている。
俯瞰して見て、自分の目で…耳で、向き合うことで見定めて…
これだけは譲れないとばかりに、はっきりと伝えるようになっていた。
胸の内に出た言葉を、傷付けないようにと心がける点だけは変わらないけれど…
ちゃんと、堂々と自分の抱く意見を伝えようとするようになった。
以前からすれば目まぐるしい成長で…
以前の君は…相手の主張を真に受け、俯瞰もできず、自分を頑なに大切にしようとしない、
自らを大切だと思うことすらも出来ず、寧ろそれを恐れているようにすら見えた。
そんなあの頃から…本当に、成長したと思う。
物怖じもせず、自分はこうだと…突っ撥ねられるようになった。
世間にも、相手にも、知らぬ誰かに対しても…
何を間違いとするか、何を善とするか、何を正しいと思うか、それは全て人によって違うのだと。
見る人によって違う発見はあるし、される人の感性…嫌と感じる言動や態度もまた違う。
結局は…その人となりを知る為、根気よく言葉を交わし続け、知ろうとするしかない。
そうでなければ、よりよい関係など築けない。
そう、ケイトは人付き合いについて語った。
その成長を噛み締めている中、気付けばケイトは起きており…
携帯に目が釘付けになっていた。
そう認識して覗き込もうとした瞬間…
ケイト「きゃああああああああああああああああああああ!!!!!」
ケイトの悲鳴が異空間内に響き渡った。