第52章 メシア・デイ・イヴ
自分はこうだと言い張れる『力』。
そして「皆、育った環境も土地の風習も違うのだから、常識もやり方も違って当たり前。だから同じ在り方を強要したりはしない」と他の在り方を否定せず、全体の内の一つの個性と俯瞰し、寛大な姿勢を貫き続ける『揺るがぬ意志』。
感性の違いから葛藤しつつもなお、間違いを犯すまいと努力できる『誠実さ』。
「喪う痛みを知るからこそ殺したくない。生みの父からの日常的な辛苦を、学校で苦汁をなめさせられ続けてきたからこそ…傷付けたくない、同じ思いをさせたくない!」と…頑として常に言動で示し続ける『慈しみ』。
たとえ殺そうとされてもなお甘受し、その態度を貫き…殺そうとされながらもやり返さず、一切攻撃もせず、守ろうと敵との戦いに奮闘できる『優しさ』。
自閉症スペクトラムという「広汎性発達障害」を背負いながらも、それから逃げず「個性」として受け止め、知ることで他を傷付けないようにしたい、守ろうと向き合える『強さ』。
(正面から話しかける、前以外なら肩を叩かれないと自分に話しかけたとわからない
相手のされて嫌なことの基準、曖昧なものは具体的に聞かないとわからず察せない
拘りが強く好き嫌いが激しい、集中し過ぎると周りが見えず聞こえない、知的障害は無い…等々)
だからこそ、想った――君が…君こそが、僕の『フィアナ』だと←1020ページ参照
何よりも尊く、清く…『光』であり、『希望』なのだと――
そう思いを馳せる中…ケイトは大衆と向かい合って、僕と同様に叫んだ。
しかし、歓声で観客席にまでは届いてはいなかったが…しっかりと意思伝達を無意識の内に使っていた。
ケイト「私も…我慢するのを、やめる!
迷惑をかけないように努力するのは変わらないけれど…これだけは譲れない!!
フィンはっ!!!誰にも渡さない!!!!」真剣&睨視
そう叫ぶと同時に、事態は動く。
勝負は…たった一瞬――
それのみで、光速による無数の凄まじい衝撃波が怒涛の如く矢継ぎ早に繰り出され続けていった。
防ぎ続けられる中、僕もまた彼女の連撃にタイミングを合わせて追撃することで互いの放った衝撃波を増幅させ合い、皆を場外へと纏めて吹き飛ばした。
余波で闘技場の上部分に自然と流れてきた雲を全て吹き飛ばすほどのものだった…
テロップ『えげつなさ過ぎる』