第52章 メシア・デイ・イヴ
8分前から6分前までの、2分の間の出来事↓
ケイト「私も…フィンと一緒がいい。
二人きりで居たい。
誰にも渡したくなんかない!」ぎゅっ
涙が溢れ出る中、涙目のまま両肩に両手を添えて身を寄せるケイト。
それに僕は抱き締めて、静かに頷き、微笑みかけた。
フィン「頷)ああ。
僕も…同じ気持ちさ」微笑
ケイト「ごしごしっ)
よしっ!私も腹を決めた!!」
ぶんっ!←涙を拭いた腕を下へ振り下ろす
ケイトは涙を拭いた後…落ち着きを取り戻してから、言ってくれた言葉がある。
フィン「ん?」
ケイト「前世も、前々世でも…今世でも!
私は…お前を、誰にも渡しやしない!!」真剣
フィン「!!」瞠目
正面から向かい合ったまま、ケイトは僕へ言葉を紡いだ。
フィン「ぷっ…ふふっ^^//」
どこまでも…僕達は似た者同士だった。
誰かに頼ることもできず、縋ることもできず…
出会ったその時まで、恋に落ちるまでの時を…誰にも打ち明けずに生きてきた。
僕は野望の為、ケイトはされる人の気持ちや迷惑を考えての為…
愛を共に紡ぎ、結婚し、失い掛けて…
どんな強敵相手であっても共に乗り越え…ここまでになった。
段々と言いたいことを、自然とはっきりと言えるようになる君が…愛しくて堪らない。
自らで止めていた時間を動かすばかりか、「ありのままでいい、そんなフィンが好きだから^^」とすら言ってくれた。
その態度で、愛する想いのままぶつかってきてくれた。
時には体当たりで、愛情表現で…真っ直ぐに、向かい合ってくれた。
これほどに素直過ぎる相手は…この世には、そうはいない。←878ページ参照
だからだろうか……ついついケイトに肩入れしてしまう。
彼女を嫌う輩が憎くて仕方ない――彼女を傷付けたり殺そうとする輩を『今まで築き上げてきた名声』をも顧みず殺そうとすらしてしまう程に…
彼女は強い。
普通なら、人にされたことをやり返す。
群れを作り、正しいのはこちらだと高らかに示す。
それは大衆の威を借りなければ安心できない『弱さ』だ。だからこそ醜い。
だが彼女は…される人の思いを考えて、必ず踏み止まる。
人のことを我が身のように重んじ、思い遣れる…
頑として、是が非でも人にも物にもしない。
その芯の『強さ』こそが…『勇気』の象徴だとも思う。