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Unlimited【ダンまち】

第52章 メシア・デイ・イヴ





わかるほどに、理解が深まるほどに…愛しさが込み上げて、仕方なかった。

僕は君に惹かれていった。


失うことを、失いそうになることすら――狂いそうになるほどに拒絶した。

両親に似た君に、フィアナと同じことを平然とできる君に…
泣き言も言わず、縋らず…ろくに頼ることも、甘えることさえもできない君を…何よりも大事な、『愛しいもの』と捉えた。

(ケイトに向けて微笑し、頭を撫でると…
心底嬉しそうに頬を染め、満面の笑みを浮かべるケイトの姿が頭によぎる)


今度こそ――守り抜きたいと、強く想った。








守れなかった








失いたくないという想いが、何度も何度も身を焦がした。←716~721ページ参照

涙が溢れては止まらず、滂沱のように止まることを知らずにいた。
両親を喪ってから涸れていた涙が蘇った。


止まっていた、いや――自分で止めていた『時間』が、動き出したように感じた。
初めて、産声を上げた。←1858ページ参照

両親を喪ってから…頑なに、勇者(フィン)(光)になろうとした。
自分で自分を殺すことも、清濁を併せ呑むことも、当たり前のようにこなしてきた。


しかし――これだけは、死んでも耐えられないほどの苦痛を感じた。

それほどのものが帯びていた。
自分らしくあることの大切さ、たとえ認められようとそうでなかろうと愛してくれる者の存在、その心強さ…

君と出会い、共に過ごしただけで得られたそれらが…止めさせてはくれなかった。



胸が張り裂け、全てが闇に覆われたように感じ、窒息しそうになるほどの圧迫感に苛まれ、心にも心臓にも大きな穴が開いたようにすら感じさせられた。

両親以外では、初めてのことだった。


生死を分ける絶望なら腐るほどあった。
慌てることも、動揺することもなく、冷静に対処できていた。

だというのに、どうだ――?


長い長い間…目を覚ますまで、自分を責めた。
周囲へ八つ当たりしそうになる自分を、辛うじて踏み止めるだけで精一杯だった。←542~544ページ参照

帰ってきたケイトに、何度も唇を落とした。



君との時間を重ねていく度に、僕は思い知った。

君が――僕の人生と化していることを


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