第52章 メシア・デイ・イヴ
たとえ空気と接している屋上であっても
屋上の周囲の風を、夏は涼しく、冬は暖かくといったように変換すると共にバス内にも循環させる機能も付属してあるので、心地よく気持ちいいと大層評判を呼んでいる。
椅子も雲クッションと同じ材質で柔らかく、包み込む性質を持ちつつ丈夫、温度調整機能付きなので夏は涼しく冬は暖かい。
お腹へかける毛布もまた配布され、降りる際に回収させてもらっている。
口コミは瞬く間に広がり、プール開きした当日から利用者が増えた。
だが、一つだけ問題があった。
ダブルパンチの心地よさの余り…バス内で寝る人も出始めたのだ。
その日の内に、そんな人達の為に『安眠スペース』なるものを2階の奥に造ったそうだ。
それもまた評判を呼び、更に人気に火をつけたという。
入口は、バスを横側から見て中央と後ろの間に位置している。
階段は邪魔にならないよう入口の奥にある。
1階はテーブル座席、またはシート座席(前の座席の後ろにある机を出すことが可能)で
移動による変化が全て緩やかな為、振動もGも無く、窓の外の風景を楽しみつつのどかに飲食している人が多い。
出口は、バスを横側から見て前に位置している。
車椅子や不自由な人用の席もまた同種類あり、1階の出口からすぐ近くにある。
1階中央に飲食物を売り出す店があり、トイレは1階中央の左端と右端にある。
2階から屋上への階段も、階段の続きにある。
2階も1階と同様。
違いは2つのみ。
前方が運転席も会計の場もない為開けており、展望台となっていること。
睡眠に特化した安眠スペースが2階の奥…つまり2階の一番後ろ側にあることだ。
屋上には窓もなく、縁に高さ1.1mの手摺があり、身を乗り出せないよう予め結界が張ってあるだけ。
それが動力源の魔力で時速40kmで移動し、タイヤと周囲は雲クッションにより踏ん付けてもぶつかってもバスも人も物もノーダメージで安心。
バス停横への停止時、タイヤは消えバスの底が穴の空いた地面へ着陸し、地面との高低差は0になる。
自動運転機能付きの為、運転手は通るコースとバス停位置の確認と会計へ専念できる。
中の異空間は異常に広いわけだが…
実際のバス本体(雲タイヤ無し状態、箱型)は縦3m,横15m,高さ8m(屋上手摺込み)と高さはそのままとなっている。