第52章 メシア・デイ・イヴ
ブンッ!!
ババッッーー!!
ザッ!!
ゴングが鳴った次の瞬間、僕とケイトへ目掛けて無数の人達が集うと同時に攻撃してきた。
それに対し、手早く魔力を拳へ凝集すると共に殴り付けた。
僕はフォルティア・スピアで、ケイトもまたスペス・スピアで…一太刀で全て気絶させて牽制させた。
あの犇めく中を最短かつ安全に駆け抜ける為の通り道を見出す観察力、全方位かつ複数からの攻撃のタイミングを見ただけで察する勘、
それと同時に周囲の全ての動き、可動域と攻撃範囲を見極めつつ全てを一太刀で斬り裂ける軌道を見極める目と判断力、
一瞬で駆け抜けつつその一太刀の動きをもさらに加速させる技量、全てをほぼ同時に全く同じ力加減で斬り捨てるだけの絶妙な力加減と繊細さ、
それらを全て一瞬で実行に移せるだけの力と速さ。
たった一太刀で、それらが同時に垣間見えた。
たった…一太刀。
それは、全てを同時に倒す為に繋げた『一筋の軌道』。
あの時(473ページ参照)と同じように…
どんな攻撃も寄せ付けない、武器で逸らすという動きもせずに瞬殺できるよう計算され尽くした動き。
たとえ無意識で考えずともできていただろうと、胸の中で囁く声がする。
足元にも及ばない。それほどに熟練されたものだと、強く感じさせられた。
今では――
僕もまた、同じ領域に立っている。
それも、彼女の隣で…
魔力を一瞬で全身へ均等に纏い、全身の攻防力を上げる。
それも全身に渡る魔力経路(魔力の通り道、172,204ページ参照)を通し、一瞬で。
それと共に魔力を攻撃の瞬間、その攻撃において力と速度の要となる部位へ集めることで向上させる。←464,465ページ参照
ケイトから教わった、魔力集中による身体機能の強化。
速度と力、耐久までもが同時に強まる。
その魔力集中、すなわち発展アビリティの《魔操作》を戦闘へ昇華させる促進剤となるのが発展アビリティ《魔闘》。
そこへ気功までもが加わり、非常に威力が跳ね上がった。
というのも気功には2種類あり、体の調子を整え癒やす軟気功、武器や体に纏わせ攻防力を上げる硬気功がある。
魔力経路もまた何度も使用と共に鍛練を続ける度に拡くなっていた為
一瞬で途方もない魔力を流れるように集中移動させることも可能となった。
それらの結果が…瞬殺だ。