第52章 メシア・デイ・イヴ
「ふむ…(勿体ない」
溜飲が下がらない様子に対し、係員は再度言った。
係員「私は…本来ならば死んでいた身です。
犯罪現場の近くにいたことから冤罪で捕まり、否定してもなお強引にやったと認めなければ未来永劫出さないと言われ…
言われるがままに罪を被せられ、犯罪歴を付けられました。
後になって聞いた所によると、金のある権力者の子がしたことを親が金を握らせ、強引に私へ押し付けたのだそうです。
それらのことで間違った認識を新聞を通し国全般に植え付けられ
居場所を無くし、住処を追われ、差別を受け、理解者からも卑下され、唾を吐き掛けられ、死屍累々という状態でした。
私が何の罪を犯したか?
傷を付けまいと頑張り続けてきた日々は?
楽しかった日々は全て、得られたはずの理解も全て…その日を境に奪われました。
(雨に打たれ、物まで投げ付けられる光景が浮かぶ)←目を細め遠くを見つめる
横暴も何もかもが強者には許され、力も金も持たない者は何もかもを許されず正当な弁理さえもない。
何もかもが、強者のいいように当時にあった過去も事実までをも捻じ曲げられ…無かったことにされます。
神に縋ろうと、どれほど祈ろうとも助けは来ない。
ただ見守っているだけ。
金も、名誉も、居場所も、暮らす場所でさえも…何もかもを無くした私は、死を待つばかりでした。
判決と称して金を全て取られ、家まで金として奪われ
私腹を肥やす裏で悪人というレッテルを私へ張り付け、借金まで背負わされました。
たった一人で死んでいくのだと思っていた…
そんな私を、領主様を拾ってくれました。
大金まで払い、助けてくれたのはあの方です。
悪人というレッテルを跳ね返すばかりか捏造された証拠の数々を暴き、事実を白日の下に晴らしてくれた。
あの人は何も言わないが…
私達領民一人一人に対し、誠実に向かい合って下さった。
3000人全てに対し、同じことをやってのけていた。
やって当然のことと、胸を張って生きる為だと快活に笑って…
私達の感謝に対して返してきた言葉は…
「幸せになれ、生きろ!それが恩返しだと思ってくれ^^」
この一言だけでしたっ」うるっ