第52章 メシア・デイ・イヴ
精霊王とは数日に渡って口を聞かず、たとえするとしても自宅にある泉の精霊を介してだけとなった。←1372,1729ページ参照
ちなみに言うと、泉の精霊にはある名前が付けられていた。
その泉の源泉は聖なる泉。
ケイトの魔力を受けたが故か、水の中級精霊から最上位精霊になった。
聖なる泉から取り、セイと付けられた。
これは補足だが…ケイトも僕も無限大表記になってしまっている。
だが精霊王の顔面が先程破裂しなかったのは、極度に傷付けることを嫌っているからこそだ。
要するに…与えられたのは無数の衝撃のみ。
しかも傷を一切付けず、痛覚にも働きかけず、後遺症も残さないようにしながらの神業とも言える。
僕達が去った後、店では…
「ほほお。気に入った!
わし個人で買い取ろう!店ごとだ!
子供にも複数持たさねばな」にやにや
あくどい笑みを浮かべる富豪と思しき商人が店頭で騒ぐ中、ある係員が対応した。
係員「済みませんが、一人につき1個までと定められております。
それに働きかける機能は複数持とうとも変わりません。
なので複数買うことに何の利点もありません」
「だから売るのを手伝おうと言っているのではないか!」
係員「有難いお言葉ではありますが、ご遠慮願います」お辞儀
「何故だ?
ここのみで売り切れると思っているのか!?」
係員「いいえ。
すみませんがここでの方針です。
お言葉に甘えるとして、お客様は悪人か否かをどう判別しますか?」
「む?
そんなものは決まっておる。犯罪歴だ」
係員「たとえそうだとして、犯罪を犯す人は無犯罪者からも出ます」
「!」
係員「それを判別する為の、神による聖別結界です。
いくら善き人であろうと、それは悪用しないという確たる証拠にはなり得ません。
環境が変わり差し詰まれば、また、強大な力を持てば何をしでかすかなど…先のことは決してわかりません。
その為に悪用防止機能も備え付けられましたが、所有者特定もしていないものを万人に売られては悪人に渡るばかりか、その私物と化す元となってしまいますので」
「……なるほど…
済まなかったな。わしと子供達の分をくれ。
それとお主…わしのもとに来る気はないか?」
係員「いえ。
私は…生涯、この国に心血を捧げる心積もりですので」←胸に手を当て恭しくお辞儀