第52章 メシア・デイ・イヴ
「今出会ったばかりのあなたが!私の何を!!」
「わかるさ。大抵のことまでは。
お前は…厳格で、真面目で、優しくて…
ひもじいだろう私の元へ、文句も言わずに嫁入りに来てくれた。
遠方の地まで…たった一人で。
幸せにしたいと思うのは、間違いか?」
「見ず知らずの私にですか!!?」ぽろっ
「ああ。そうだ。
そしてたった今、見ず知らずではなくなった」
「!!」
「最愛の妻になるのだ。
ちゃんと生きてもらわねば困る。
これからも、生涯をもって愛してゆくのだからな」微笑
その言葉を皮切りに…言い知れようのない感情と共に、涙が溢れだしては止めどなく流れ落ちていった。
縁側で泣き崩れる私の肩を、落ち着くまで摩り続けてくれた。
女だからと差別しない温かな眼で、今までになく優しい目で見つめてくれた。
生まれて初めて…恋に落ちた。
この方とならばと…淡い期待が込み上げては止まらなかった。
それに間違いなどはなく、親切丁寧に接してくれた。
それでも…長年の習慣は簡単には抜けず、四苦八苦する私へ苦笑しながらも「できる範囲でいい」と言ってくれた。
フィン「…ケイト」
ケイト「ん?」
フィン「前世の時…出会ったばかりの僕へかけてくれた言葉を覚えているか?」
ケイト「んーっと……
なんか怒られたけど、肩の力を抜いて欲しいなあって感じで言ったのは覚えてるよ?
それ以外はあんまり^^;」
フィン「……たとえ忘れてしまったとしても…僕は君を愛し続けるよ」
ケイト「へ?」←目を丸くする
フィン「…まったく…人には散々恩を売るくせに……
最期まで…売らせず、押し付けてきて……
お慕い申しております。前世も、前々世でも…あなたのことを」
ケイト「!//
よ…よせよ、恥ずかしい//」そっぽを向く←耳まで真っ赤
フィン「…ケイトは?」
ケイト「……たとえ何度死んでも…変わらない。
それだけは、確かだよ」
フィン「…ああ…
甘々なのが難点だけれどね」くす&片目瞑
ケイト「お前なあ~;」
フィン「愛しているよ。
闘技場では手加減はしないけれどね?」
ケイト「…私の方が愛してる」
フィン「ああ…わかってるよ」
大衆の面前だ。抱き締め合うとまでは行かないけれど…
舞台袖の見えない場所で互いの手を恋人繋ぎで握り締め合った。