第52章 メシア・デイ・イヴ
「?得心がいかないという顔をしているな」
「…それはそうでしょう。
武士たるもの、そのような軽んじた態度は
「してはいけないと誰が決めた?」
「!」瞠目
「この家の家長は…私だ。
二人きりなのだから、別によいだろう。
私は…お前の笑った顔が見たい」微笑
「……ですが…」俯
「ですがもない!」
「!」顔を上げる
「…お前は、生きている。
生きろ。
誰に何と言われようと、己がまま最期まで生きろ。
それが…生きるということだ。
今のお前には…それがない」
「何を言うのですか!!?
私は生きています!!
たとえなんと言われようと、辱められようとも!
家の者から…居場所を無くされようとも!!
今だって生きています!!
何をもって生きていないというのですか!!!?」
はぁーっ!はぁーっ!!
凄まじい勢いで捲し立てる中…彼は一切動じずに言い放った。
「目だ」
「!」
「……お前の目は…笑ってなどいない。
抑圧され、貶され、それでもなお生き抜いてきたのだろう。
私の母上もそうだった。
父上の後を追い掛けるように死に、私一人となった。
だがな…?
甘過ぎると称されようとも、私を慕ってくれる民がいる。
農家の者はいいぞ?自由だ!
だが…それも戦国の世。助け合わねば生きてはいけぬ。
ここでぐらい…吐き出してはみないか?
私は……お前の支えとなりたい。
それが家族であり、私の理想とするものだ^^」
「っ!…
馬鹿なんですか?」
「ん?」
「軽蔑されて、出ていくとは思わないのですか?」
「うーむ。
吐いて捨てるほどにいるであろうな。
だが…私は、お前だからよいと思った」
「私の何を知っているというのですか!!?」
縁側で叫ぶ中、なおも彼は言葉を続けた。