第52章 メシア・デイ・イヴ
フィン「……よく知っているよ…
僕自身…パルゥムだからと偏見を抱かれることも沢山あった」苦笑
ケイト「人間なんて…全員滅べばいいと思っていた」
『!!』瞠目
意外だった。
いつも…人に合わせようと、嫌な思いをさせまいと…人のペースに、言動に、おろおろと振り回されるばかりだった。
人の気持ちを第一に考え、思い遣れる…そんな君が、そのような想いを抱いていたなど…
いや…当然のことだろう。
それまでに人から受けてきた扱いを考えれば。
寧ろ…今まで、その考えに陥らないことこそが異常だった。
ケイト「人のそれを見る時は、必ずできないことへ目を向けたがる。
そこが一番忌避しないといけない点。
でも皆、それに気付かない。
己の価値観を、常識を押し付けているだけってことにさえ気付けてない。
自分という枠組みで測り切れて当然だと思っている、証でもある。
測り切れないことなんて、この世には数え切れないほどある。
寧ろ、ほとんどがそうだから。
それに目を向けられず、ありのままを受け入れず、否定から入る。
それは…あってはならないと思う。
だから……この国を作った。
差別、迫害、嘲笑、身分も何も関係ない。
あるのはただ、死が誰しもに訪れる家族。仲間。
皆、いずれは訪れる。
だというのに、その時までに悔いのないよう生きよう等とはしない。
この世で残したことを無とする為に。
あの世でいずれは皆平等に捌かれる。
この世での行い、悩み、葛藤、その上で見出す進むべき道。
自らにとって正道であっても、他者にとって正道であるとは限らない。
だから…考える。聞く。見る。
その上で判断し、その時々に合った道を進もうと考えられる。
それを…私が会った人達は、しなかった。
いや、しようとすらしていないようにも見えた。
死んだらどこに行くか。この行いの先に何があるか。
いずれは帰るべきあの世、故郷に帰るというのに…平然と他を痛め付けて何とも思わない人(悪魔)ばかり。
だから…滅んだ方がいいと、思った。
期待すると、痛みは増える。
するだけ無駄だと、何年も続いてやっと気付いた。
私は…人間が、憎かった。
何故存在するのかもわからず、生きているのかさえも…わからなかった(俯)
っ…(ぽとっ)
でも……
皆が…教えて、くれたんだ」涙