第52章 メシア・デイ・イヴ
なで
涙ながらに、歯噛みしながら絞り出すように言葉を吐き出す。
頑張って想いを口にする。
今、こうやって話している間も…心は悲鳴を上げているだろう、苦痛を感じて仕方ないだろう。
それが痛々しいほどに伝わってきたことから
僕はそっと涙を流すケイトを抱き寄せ、頭を撫でた。
大丈夫だと、ちゃんと聞いていると…そう、伝える為に。
彼女はやっと、笑みを浮かべてくれた。
僕の方を見て…笑顔を浮かべ、口元を緩ませながら…
目を細めながら…とても嬉しそうに、言葉を続けた。
何度しても、何度泣いても叫んでも聞く耳も持たない。
叫ぶことも、話すことすらもまともに出来なくなり
感情を表に出すことさえ出来なくなった。
それを知らぬのをいいことに、出来なかったことばかりに目を向けては責め
生みの父からの虐待、それに伴い余裕を無くした母からのヒステリー…
様々な要因から、環境から…生涯は増えていき、フラッシュバックの数も増え
多数の人の中で生きて行くことさえも果ての無い苦痛を感じ、拒絶するきっかけとなった。
時は、決して戻らない。
された側の傷は、決して消えない。
当時の環境も、それに伴う習慣もまた同様に。
無責任な言動によるそれは謝罪一つで無かったことにしようとする。
しかし、それによって得た障害は決して消えない。過去も、傷も、痛みも、辛苦も…
過ぎた時間、やった行い…その過去は、決して消えて無くなりはしない。
業として、己の魂に刻み込まれてゆく。
そして…他を痛め付け、蔑ろにする行いをすればするほど……
魂の位が、神から遠ざかっていく。
ケイト「微笑)//
そういう…人達ばかりじゃないって…//
やっと…(つー)
やっと…希望を…持てるようになった。
頼っちゃいけないって思った。
負担かけたら怒られるから、消えなきゃいけないって。消えろって叫ばれるから。
誰にも頼れなかった。打ち明けられなかった。話せなかった。
話すことさえもが…苦痛で仕方なかった…
それが……やっと…変わった^^//
嬉しくて…ここに来てからの日々は、どれもが眩しくって…仕方なかった」
ぼとぼとと零れ落ちていく涙とは裏腹に、嬉しそうに頬を染めて笑みを浮かべた。
僕を抱き締めながら、「太陽を見つけた」と言って笑ってくれた。