第50章 秘密
互いに、ありのままをさらけ出した。
心も、心境の変化も、言葉にして、魔法で通じ合わせて…
降りかかる困難も…その度に共に乗り越えた。
何度も口を酸っぱくして伝えた。
君を失いたくないと、大切にして欲しいと…
受け入れてしまえば…彼女はより辛い思いをする。
過去のフラッシュバックの時、より苦しい思いに苛まれる。
たとえそうなるとしても…そうして欲しかった。
愛しさが深まると共に、失う恐怖に子供のように怯えた。
嫌だ嫌だと叫ぶほどに、涙が自力で止められないほどに、心がいうことを聞かなくなった。
それほどに…愛することを、愛が通じ合う喜びを…初めて知った。
その裏に隠れる、恐怖も共に…
深まれば深まるほど、喪失感は高まる。
知っている。わかっている。
それでも…共に居たいと願った。共に生きたいと、何度も想った。
狂おしいほどに、来るだろう別れを拒んだ。
愛し合い…理解し合い…狂おしいほどに、求め合った。←1435~1441ページ参照
今では、もう…全てが幸せで、仕方がない。
共に居るだけで心が躍り、彩が増し、心から…魂から、幸せだと感じてしまう。
それだけで他に何も要らないと、強く想ってしまう。
愛おしくて愛しくて堪らない。
前世でも、前々世でも、今世でも…
変わらず、君という存在を求めていた……
心から何度も、互いに…互いを求め合っていた。
それがわかった時、本当に嬉しくて仕方なかった。
愛しさが込み上げては、止まらなくなった。より一層制御が効かなくなった。
それごと幸せだと捉えられるようになったのは…他でもない、ケイトのお陰なんだ。
満面の笑みを浮かべ、こちらを振り返るケイトの姿が瞼に浮かぶ。
何度も想い、愛し…大切にしてくれた。
温かな存在が…温もりが、幾度となく脳裏をよぎっては包み込んでゆく。
僕も、そんな存在になれたら…君にとって、そのような存在であれたらと…どの世の僕も、強く願っていた。
両腕を広げ、ケイトへ歩み寄り…ディとアルごと、強く抱き締める。
胸に込み上げる想いのままに…ありのままの、魂からの僕のままで。