第49章 真の力
ケイト「…嫌だ…嫌だよ…
私は…何も、失いたくない。
でも…何も失わない世界なんて、どこにもない。
そこから得るものなんて、大したことがないからなのかもしれない。
それでも…失う痛みをまた味わうくらいなら、いっそ先に死にたい。
けれど…それが無きゃ、大事になんてできないんだ…
何で…どうして…切り離せないんだよっ;;」
晩酌を久しぶりにした所…涙ながらに言葉を零していた。
フィン「…どうしても…切っても切れない部分だからね^^;」
ケイト「死んで欲しくないんらよおお!!;」
フィン「ダメだ…益々酔いが回ってきてる;呂律が;)
治れ」←右手をケイトの頭へ翳し神の力行使
ケイト「うー;;ぐすっ」ひっく
フィン「…気分はどうだい?」←心配そうに顔を覗き込む
ケイト「噛んじゃうぞ!」ぐいっ!&チュッ!
首の後ろを手で押さえながら、唇を強引に奪われた。
嬉しいような…恥ずかしいような…///
フィン「どうだい?気分直しに…
桁が京になったのなら、いっそ店ごと買わないかい?」
ケイト「やだ」
フィン「!?;」
ケイト「求めているものを買える方が余程いい。
求めてもいないのに買っても用途もないまま無駄死にさせるだけでしょ。
店を大人買いなんて流石にやだよ。周りの迷惑考えて」
フィン「…必要としている人に、必要としている時に与える為。か」
ケイト「当たり前じゃん。そっちの方が物だって喜ぶよ!」
フィン「…金の使い道についても、きちんと考えないとね」
ケイト「金の切れ目が縁の切れ目って言うしね。
私は元々ない方だったけど」
フィン「…君の場合、たとえ破産したとしても周りが放っておかないだろうね。
フレイヤもロキも、リヴェリアも誰もが…先んじて金を渡そうとするだろう…瞼に浮かぶよ;」う~ん
腕組しながら考え込む中、「早々来ないよ」とケイトから言われた。
フィン「…それもそうだね」苦笑
そう返す中、浪費だけはしないよう気を付けようと心に刻み込んだ。
そういう人格者で、常識人な所もまた…力の源なのだろうと、僕は思う。
僕とケイトは酒を互いに酌み交わしながら…
アルとディもケイトの母乳が入った哺乳瓶を手に、それに合わせてぐいぐいと揃って飲んで…きちんとゲップさせて……
一時の晩餐会を、心行くまで楽しんだ。