第49章 真の力
フィン「…意外だね;
地獄の沙汰も金次第という言葉を聞いたことがあるんだが」
ケイト「あれは根も葉もない作り話だよ。
この世とあの世の境には三途の川があるんだ。
金なんて沢山持って行ってみろ、渡る前に沈んじゃうよ。あの世に行く前に地獄行きだ」←再びフィンを見やる
フィン「…確かに;言われて考えてみれば、重いだろうね;」
ケイト「早い話が、この世では金さえあれば飛ぶ鳥も落ちるみたいな考えを持った奴が生み出した俗語だよ。
金なんてこの世でしか通用しないし、沢山持ってることで評価されるのはこの世だけ。
人として、大切なのは…どれだけ人を想って、向き合って、共に生きていくかだろ。
大事な根本投げ出して、やりたい放題やって、そんな奴が地獄に落ちない方がおかしいわ。
まともな思考も捨てて、自分主導で周りの気持ちも何も無視して…
だから落ちるんだろ、落ちる方がおかしいって八つ当たりする前に周り見ろや。
お天道様、ならぬお目付け役の主護霊様はきちんと見てるぞ。思考から言動から何まで。
責任持てない、あの世で掘り返された時に嫌悪する。そんな行動ならやめろ」
フィン「…全部、本当だったんだね…
僕も驚いたよ。
神になってから、君の言うあの世も、その仕組みも視えるようになったから;」
ケイト「落差が凄いでしょ;」
フィン「ああ…
思っていたのと、見ると聞くとでは全然違う;」
ケイト「まあ、ともかく…
あの世じゃこの世の常識は全部通用しないと思っといて。
自分以外の人に対して蔑ろにした分、そのツケはたっぷりとあの世で返ってくるから。
この世じゃ返ってこないけどね。
例えこの世で思い直して償おうとしても、誠心誠意じゃなきゃ償いとも受け取られないけれど。
まあ…何にせよ…
一番言えるのは「胸張っていられる自分でい続けろ」
「そんでもって、胸張ったまま死ね!」
それだけだな!^^」
フィン「君らしい実直な意見だね…;」唖然
焼き肉を素早く皿へ盛り付けながら、こちらを向いて笑いかけられた。
その笑顔は一切曇りがなく、出会った頃の…純粋な眼差しのままだった……