第49章 真の力
フィン「…君の魂の位(くらい)はどうなるんだい…?;
人として許されることではないと思うのだけれど」
ケイト「知るか。
人を苦しめて平気でいられる輩を放置する方が、よっぽど自殺者で死人が増えるわ。
あんな輩は5億回死んだ所で足りん。
差別する輩も人格も精神も心も壊れてもなお続けないと釣り合わない」
フィン「……大丈夫かなあ;」
ケイト「うちの国民にはいないから大丈夫。
出てきたらやるってだけだし、結界のお陰で全員は入れないように出来てるから。
もし弱ったりして、入ってくることがあったらって為の予防策だよ」
その折、ある一つの可能性が脳裏によぎった。
フィン「ケイトを嫌ったり支持しない奴は全員殺すか?」ぼそ
ケイト「流石にやだよ;」困惑
フィン「僕としては殺しても足りないのだが…;」
ケイト「駄目だよ。
せめて追い出すぐらいにしようよ;」
フィン「着の身着のまま手荷物を許さずでいいかな?」
ケイト「そしたら外で死んじゃうよ」
フィン「そうしたいんだよ」
ケイト「…;
とりあえず…死罪って言ったけれど、こういう方針でもいい?;」
その言葉と共に出てきたのが、例の手段だった。
甘過ぎると僕は思ったが、見殺しにするよりはマシだと言い返された。
「そんなだから益々付け上がられるんだ」と不評を零しかけたが…無理やり飲み込んだ。
彼女の美徳ではある…それに違いはないのだけれど…
それをいいこととばかりに、見せつけるようにやつきながらまたやってくる。
それが非常に腹立たしくもあり、凄まじい苛立ちと嫌悪感を抱かせる。
だが…ケイトにも一つだけ欠点がある。
「世界中で一番死なないといけない種族は?」と聞かれれば、迷いなく「人」と答える。
地球全体のことを考えれば、最もうっとおしく、最も他を殺す者達だからだと。
それも…他を見下し、殺し、蔑ろにし、追い詰めても、自殺するまで傷付けてもなお何も感じない者達しかいないからと。
その慣習が、ケイトに揺るぎない価値観を与えてしまった。
己の命を決して顧みないこと、霊感も相まって…あの世に帰る際に後悔しないよう人は害しないよう努めていることも
頑なに、己の命を、傷を、心を、何とも思わないようになってしまった。
いや…そうしてしまえば、それまでのものが無かったことになるから。