第7章 恋と自覚
フィン「小人族は他種族よりも『勇気』に優れていると言われていて、かつて数々の偉業をなした騎士団が擬神化した『フィアナ』という架空の女神を信仰していたんだ。
でも…実際に神々が地上に来た際にフィアナが実在しないことを知り、一気に衰退していった」
ケイト「…」
フィン「僕は、小人族を復興させたい。何かと他の種族に見下されやすい小人族を。
小人族には光が必要だ、『勇気』という旗印が。
だからまだ終われない。何が待ち受けていようと、僕は先に進むつもりだ。
冒険者として!」
もう一つの目的は…世継ぎの為の嫁探し『だった』。
生憎出会いに恵まれず、同じ『小人族の妻を』とだけ考えていたんだ。
こうして、恋を味わうまでは……
そう考えながらケイトをジッと見つめていると、言葉をかけられた。
ケイト「たとえそうであっても信じるものは変わらない。
信じたいものを信じた時が、一番力が出る。
たとえ実在しようがしてなかろうが
その心に信念と、それに賭する想いがあるのなら…それが『本物』だと思う。
『フィアナ』は実在するよ!小人族の心の中に!勇気の中に!!」真剣
フィン「………」
そう考えていた時に、彼女から掛けられたそれは盲点だった。
ケイト「小人族の心の中に勇気が生まれた時、そこにフィアナが居ると私は思う。
神が実在していないかどうかじゃない。
その心の中に、信じる道を進む勇気の中に、フィアナが居ると感じるか感じないかだけだ!信じるか信じないかだけだ!!」
心の中に信じるものがいる。居る。
そんな単純なことに…何故気付けなかったんだろう。
今になって思う。
ただ周りは…長く信じ続けていたものが実在していないことに、絶望していただけなのだと。