第49章 真の力
フィン「恩に着るよ」微笑
精霊王「その言葉に嘘偽りがないのもわかる。ケイトが選ぶくらいじゃからな…
だが心せよ。
相手の為ならいざ知らず、自己の利益の為だけにそれを混ぜれば再びわしらは見限る」
フィン「そんなことはしないよ。パルゥムの女神、フィアナに誓って」
精霊王「手前勝手な理屈も一切受け付けん。
ここと外とでは、環境も重要視されるものも何もかもが違う。
わしが取り仕切ることになったアルルェーチェ街においてもじゃ!
よいな?」
フィン「ああ」頷
精霊王「修練を収める室がある。
そこでやる。
外では1時間足らずじゃが、中では1000年もの時が進んでおる。
ケイトが異空間を作り出したのも、それをもとにして考案されたものじゃ。
しかも肉体の成長時間は外の時間分のみ。自分で治さねば骨とて残らず死ぬ。
中では地獄の業火、絶対零度の氷河、鎌鼬の嵐、夥しい雷、地面から天を穿つ無数の槍、それらの概念が所狭しと同時に存在する。
それでも…やると申すか?」
フィン「そうでもしなければ…前には進めない。
神の力を完全に扱えるようになるには、修業空間での修業すら生温い。
ケイトは…優し過ぎるからね。教えも、扱きも…
必ずどこか、手心を加えてしまっている。それも無意識の内に」
精霊王「そうか…ならば仕方ない。
最初100年は付きおうてやる。
が、残り900年は自力で何とかせい。死んでも文句を言うなよ?」
フィン「覚悟の上さ」きっぱり
精霊王「どうやら無謀ではないようじゃな。
覚悟の決まった、据わった目をしておる。
まあ、基本はケイトが教えておるじゃろうが…ふむ(一息つきながら顎髭を撫でる))
まだまだ制御はひよっこじゃが、力は膨大じゃな。特に繊細でキメ細かい。
これならケイトよりも繊細な作業ができるかもしれんの。
あれはあれで豪快かつ強大、力同士の結びつきが強い分密度も高く、効果が強烈なのが難点じゃったが」
時間が無かったあの時とは違い…
互いの想いに耳を傾けつつ、各々が思う意見をぶつけ合っていた。