第49章 真の力
精霊王「何故、わしに頼む?
ケイトへ頼めばいいじゃろう?」
フィン「生憎、ケイトは子供のことで手一杯だし、ただでさえ疲弊し切っているのに頼るわけにはいかない。
それに…クリエイト、神の力を師事したのは君だと聞いている」
精霊王「……何を言うておるか、意味はわかっているのか?」
フィン「ああ…覚悟なら、当の昔に決まっている」
精霊王「精霊王の森の守り人、それに名を連ねることを意味するとしても、か?」
フィン「ああ」
精霊王「適性が無ければ殺される。既にそのリスクも承知の上か?」
フィン「知っている。
この力を得た時に、もう知っている。
彼女一人に重荷を背負わせるわけにもいかないし、背負わせる気も毛頭ない。
彼女が…少しでも自由に生きられるよう、助けになりたいんだ」
その場所は、精霊王の森…
精霊王へ面と向き合ったまま、僕は言い放った。
精霊王「……ケイトには話さずに、か。
フィン「伝える気はないよ。
言わずとも既に知っている。神の力を得るほどの仁徳、もとい霊感で…
それでも…変わらずに受け入れる馬鹿だからね」
そんな僕の言葉に、精霊王は目を細めながら遠くを見つめ、笑みを浮かべる。
熟知しているからこそか、その光景がまるで今も瞼に浮かんでいるようにも見えた。
精霊王「すぅー…ふぅー」
不意に深呼吸をし出し…それと共に、森が揺れた。
それだけで、木々のざわめきが辺り一帯を包み…
まるで、森全体と…皆と話し合っているようにも見えた。
しかし…小さく精霊王の口から零れた言葉が、僅かに聞こえた。
精霊王「変わらんか…それも…愛する者の為」
フィン「頷)ああ…
絶対に、断固として…
これだけは、譲る気も毛頭ない」真剣
その意を汲んでか、精霊王もまた頷き返した。
精霊王「あいわかった」目を伏せて頷く
フィン「!」
精霊王「主の覚悟も、想いも、既に承知済みじゃ。
人間自体へは、快くは思うてはいなかったが…お主になら、いいじゃろう」
返ってきた言葉は…了承だった。
それに対して、僕は自然と笑みを浮かべながら感謝の意を示した。