第48章 死
ぷるぷる
再び起きたのか、飛び上がった後で頭を抱え込んだまま両膝を丸めてベッドの上で蹲った。
フィン「済まない…
これぐらいのことしか、僕にはできない」
ぎゅうっ
背を撫で、抱き締めながら震え泣くケイトへ寄り添い、言い放った。
その言葉に、縋り付くように抱き返してくれた。
できない障害を負い、ワザとしているのだと言われ、どう思っただろうか…
何年も続くそれによる心痛は計り知れない。測れるものでもない。
どう頑張ってもできないそれを、理解しようとする人もいない。
傷付けないよう振る舞っていても、何かあったのだと察しようともされない。
咽び泣くしか赦されず、声も出ない中では許されるのはそれだけだった。
だからこそ…支えたい。
今度こそ、人生を謳歌して欲しい。
我を自然と出せるように、あって欲しい。
しかしそれには…遅過ぎたのかもしれない。
遅咲きかもしれない。
それでも、後押しをしたい。
君の幸せそうな姿を、ずっと見ていたい。
傍らで、共に幸せを堪能したい。
些細な日常で構わない。争いなど要らない。
そう思えるほどに…僕もまた、ケイトへ恋い焦がれていた。
君なしでは生きてはいけない。
ケイトもまた、僕なしでは生きていけないと言っていた。
今度こそは…君に先立たれたくない。
「僕を未亡人にさせないでくれ」と、そう自然と口をついて出てきた言葉の理由が、今では…よくわかる。←378,517,699,700,1278ページ参照
前世も前々世も…女だった僕は、君に先に死なれてしまったから……
霊視してから気付いたそうだけれど…僕は…違う。
きっと…気付かない内に、魂同士が求めていたんだと思う。
そう語りながら、唇を奪った。
その頃にはようやく震えも収まり、落ち着きを取り戻したようにも見えた。