第48章 死
その次に…
彼女(ケイト)が取った行動は……
街の人間達を――救いに行くこと………
最初に得た、自我…
それが望んだのは…どこまでも愚直な、痛いのは誰でも嫌だからという…
「慈愛」に満ち、その為にならどのような強敵にでも立ち向かう「勇気」…
それこそが…彼女(ケイト)の本質だった。
勇者は…君にこそ相応しい冠名だと思わされるほどに……
過去を映す水晶から、戦い続ける様子を見つめながら…
ただただそれに焦がれ、打ち震え、君しかないと…そう…思ったんだ。
ヒューマンだとしても、何だったとしても関係ない…
君だから…僕は惚れた。43にもなるという生涯の中で…初めて、恋に落ちたんだ。
フィン『君は、何をしたい?』
我を尋ねた時…その時はまだ、何も言えなかった。
しかし…次の日の朝には、既に行動に出ていた。
水晶から強大な敵を相手に、一歩も引かない様子を見ていた。
石を投げ付けられる中も、剣を投げ付けられる中も
その剣を攻撃に利用しながら、何度も…何度も…
涙を流しながら…何故こんなことをしているのかと考えながらもなお、誰かが傷つくのを見るぐらいなら死んだ方がマシだ!!
そんな激情に一瞬で飲まれ、なおも暴れ狂う
格上相手に何度も何度も暴れ、怪物が倒れるまで攻撃を続ける。
眠る間もなく、食べる間もなく、それは続いて行く…
途切る気もなく、休む気もなく、倒して次の獲物へと力の限り暴れ続ける……
君は…まだ…死んではいけない。
死なせてはいけない。と…
親指の勘が…心が、強く、疼いた…
彼女しかいないと、彼女以外はいないと、欲していた……
その時から既に…僕は、彼女以外考えられなくなっていた……
僕の中で、頑なになっていたことから止まっていた時間が――動き出す始まりとなった。