第48章 死
記憶が蘇ってから後の出来事が…脳裏に浮かんだ。
ケイト「何で殴ってこないの?
蹴っても大丈夫だよ。
ほら、殴って。蹴って!」
『!!?;』
ケイト「?…何で殴ってこないの?
鬱憤晴らしに付き合わないと、ご飯食べたらいけないんでしょ?」きょとん
フィン「やらなくていいんだ」
ぎゅう←フィンがケイトを抱き締める
アイズ「大丈夫だから」
ケイト「何で?
皆…言ってたよ?
私なんか死んだ方がいいって、有効活用してやってるんだって。
お前の意思なんか要らない、死んでしまえって…
それが普通なのに、何でそうしてこないの?
おかしいよ」
フィン「おかしくない!!
これが普通なんだ。僕達にとってはそんなことは
ケイト「何でしてこないの?
わかった!
ご飯要らない、服も全部要らない、
全部返すから、それでいいよね?」
フィン「違う!返さないでいいんだ!!」
ケイト「でも…でも…
ダメだ!嫌だ!もっとたくさんされる!やめて!いや!!」頭を振る&離れようと抵抗する
フィン「やらない!!あんなことは僕達がさせない!」
ケイト「やだ…嫌だ!!こんな普通理解したくない!」
頭を抱えて頭を振り、半狂乱に陥った。
涙を流し、普通だと認めてしまえば…
それまでの普通がなんだったのかわからなくなる。
そう怯えるケイトを抱き締め、泣き疲れて寝入るその時まで背を、頭を撫で続けた。
何かを与えられれば、それ以上に痛みを与えられなければならない。
それがケイトの持つ固定観念で、生みの父からのほぼ毎日の贈り物だった。
仕事の連中への苛立ちが蘇れば高圧的に叫び、殴る、蹴る、溺れさせる。
いつ来るかもわからぬそれに怯え、
苛立ちの時に声を掛けるだけで殴られることもあった為、余計に声も出せなくなり
おかえりと零した声への返事は暴力と暴言、
髪の毛を掴まれ、引き寄せられながらされることが日常化した為、男のような短髪に常に切っていた。
平気で暴力と暴言を振り撒くそれと同一視してしまう。
人見知りをしていた理由も、声を掛けられなくなったそれも
いじめがあった後、学校でもそれを強いられると身を持って知ったから。
嵐と同じで過ぎ去るのを待つしかない。
イメージを挽回させる為に動くことも僕なら考えるが、如何せん相手はほぼ皆聞く耳も持たず決め付けるだけの人達。