第48章 死
気性が穏やかで、お淑やか…
怒った時ぐらいにしか荒々しくならない。
団長の言う理想の人と、同じタイプだということがすぐわかった。
それと同時に、団長がケイトへ恋に落ちているのを…なんとなくだけど感じた。
団長が…ケイトと居るだけで、今まで見たことのないくらい…自然と、生き生きとしていたから。
その怒る時でさえ、大切な人が害されるそれが垣間見えた時だけ。
己にかかる害は全て他人事、もう何も感じないとさえ言っていたし…
ケイト「心配しなくても大丈夫だよ^^」
そう笑いかける態度に、苛立った。
何もかもを諦めているようにさえ見えた。
想いに整理を付けようとするそれに、とっても苛立った。
付けられるはずもないし、それに振り回されているだけ。
それでも閉じ籠って考え込んでいるようにも見えて、殴り飛ばした。
操り人形、奴隷と同じように他人にいいように振り回されているそれに…全然、気付いていなかったから。
気付かないのをいいことに、思いのままに動かせて当然と考えている、明け透けな「街の連中の想い」が垣間見えたから。
本当に、思い通りに動いているケイトのお人好し過ぎる行動に…苛立った。
遠慮ばかりして、人のことばかり気遣う馬鹿だけれど…
でも…時を経るに従って…徐々に、自分にも…その優しさを向けれるようになった。
傍に人がいればそれを優先するけれど、自分の身を守ろうと、その為に少しでも動けるようになっていた。
そしてついに…
ケイト「全員殺したい」
きっぱりと、私達がいる時だけだけれど…ちゃんと、意見を言えるようになった。
何故か…嬉しくて、笑ってしまった。
やっと、心根を、ありのままをぶつけてくれたように感じて…
やりたかったそれではなく、ちゃんと思っていることを伝えようとしてくれたことが…
最初の時はまともに言うことさえ、相手のそればかり立てようとして、いつ切り出すべきかおろおろしてろくに言えてなかった。
言うことすら、ままならなかったのに…整理の付かない感情に振り回されていたのに…
本音でぶつかってきてくれたことが、とても嬉しかった。
だと言うのに…フラッシュバックを起こして、なおも弱り切っている。