第48章 死
ケイト「わかったよ…フィン…
人は、全て我が儘だ。
我を持つということは、他の個へ押し付けること。
それを無にするには…いじめを無くすのに一番確実なのは、全員殺して無とすること。
それを実行したから、始祖神が産まれた時にその空間には何も無かったんだ。
母が全てを賭して護り抜かれ、唯一産まれてきた。
そして魂が死するということ、その際に偶然産まれてくる魂と融合して生まれ変わった。
何度も何度も…繰り返している」
『……』
その後もケイトは、まるでうわ言のように…呟いていた。
僕達を見ずに、疲れ果てたかのようで…頭をぐらつかせながら……
ケイト「主観を押し付けるなよ。
善も、悪も、境界も、基準も…誰もが違うんだ。
違って当然なんだ。
歩んできた道も、環境も、全てが違うのだから。
理解を求めるな。
人が人である限り、違いは無くならない。
ああ…疲れた;」がくっ
フィン「ケイト…」
ケイト「…きっと…一人では生きていられない。
わかってる。
でも、キリないじゃん…
他の人と生きていく。合わなきゃ辛い、合えば最初は楽しくても後で辛い。
張り裂けそうな想いに囚われる。
それでも生きていく…生きている…
しんどくて、仕方ない…;
特に、産まれてきた環境が違うから、できないことが人より多いから。
普通って何?違えば、それだけで駄目なの?相手にとってできることができなければ、全て悪?
生みの父から何か一言でも言えば、幸いとばかりに殴られてたから?
なりたくて、なってるんじゃないのに…できて当然だと強いられる。
押し付けて、個人と向き合わず、我のそれだけが全て正しいのだと、そうでないものは全て悪だと、合わないだけで罪なのだと…
そういう人しか、周りにはいなかった。
抵抗しなければ、好きに言って。
いずれにしろ、人は…陰で好き勝手に言う。
自分を持ち上げて人を悪く言う輩が後を絶たない。
話す相手も居ない私は、どっちにしろ言わない方だ。
どの面下げて、その人と顔を合わせればいいかもわかんなくなるから。絶対やらないって決めてる。
それなのに、他の人達は違う。
もう……疲れた…」げんなり
そう言いながら肩を落とし、ソファーへ身を埋めて横になった。
まるで…目の前の現実から逃避しようとしているかのように……