第48章 死
決して消えぬ傷、自身(ケイト)を傷付けることが楽しいと考える周囲の一般常識…
本質を好きに改竄して周囲へ囁き、皆が敵に回るよう画策し、苦しむ様を見て楽しみ、それを遊びとした。
未来ある若者を立ち直れなくし、その考えに染めさせ洗脳し
自らもまた自身を傷付けることを楽しいことと、強制的に思考回路を改変させた。
せせら笑い、死ねと言い、来れば殺すと言い、死ぬことを望んで学校へ来ても殺されず…
生みの父から物心つく前から鬱憤晴らしの道具とされ、そうされることが普通だった。
皆も同じなのだと、自ら自身へ接してくる輩が傷付け、周囲は笑って見てくるそれに…そう悟った。
ケイトが取ったのは…不快な思いをさせないこと。
生みの父にしているように…徹底的に距離を取り、自ら話しかけず(いずれにせよ話しかけられない限り声を出せない障害があるが)、誰も巻き込まないよう一人でい続けることだった。
心を閉ざし、されるがままに受け止め、いくら怒ろうとも哀しもうとも時間は巻き戻らない。
今もなお笑って、自らにとって不都合な過去も過ちも全て無かったものとし、生きている彼等彼女等…
謝っただろと訝し気に言ってくる輩に自身が双眸を向けると、必ず皮肉にも地獄に落ちる結末が霊感で垣間見える…
毎日し続けてきたそれを1度の謝罪で許されて当然と笑っている。
ケイトを鑑定すると、必ず出てくる項目がある。
精神的苦痛耐性が10段階中50、肉体的苦痛耐性が10段階中49と異様な数字を示していた。
だがそれはあくまで耐えれているだけで、何も感情を抱かないわけではない。
当時こそ麻痺してはいるが、今では不快感を感じる程度まで回復している。
そしてケイトにとっては…全ての人が、同じに見えて仕方がない。
ケイト((ドックン!!)…怖い)たじっ
『?』
フィン「ケイト?」
ケイト(怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い)
震えるケイトの目を見ると、怖い以外何もないのが見えた。
フィン「!ケイト!」
ケイト「怖い×∞)ぁ…ぁぁっ」がたがた&頭抱え
両手で頭を抱え蹲るそれにつられ、抱き締めていた僕も共に蹲る。
必死に宥めようとするも…植え付けられた習慣は決して拭えず、強烈な思念に飲み込まれ切っていた。