第48章 死
抱き締められている間…ケイトは静かに、僕へ寄り添い続けてくれていた。
それに集中し続けてくれていたからこそ、心はまだ平安を保ち続けていた。
ただでさえ、人に恐怖を抱くことが無くなってないとはいえ…大分と苦手意識は改善されていた。
『知り合い』に対してのみは。
僕が抱き締めている間もなお、アイズやティオナも左右から抱き締め、ティオネに至っては僕の後ろから僕ごと抱き締めてきた。
それでいつも通り、ワイワイと騒がしいことになったのも起因しているのかもしれない。
ティオナ「死に掛けてたんだよ!?」
ケイト「え!?;」
そして説明した。
説明した点
・例の怪物(モンスター)は誘拐された人達の成れの果て。
・その際、怪物の命と人の命は繋がっている。
すなわち、怪物を殺してしまえば人も死ぬ。
・それを救う為に怪物を切った際に無意識の内に命との関連性、繋がりを理を改変させながら断ち切っており、その際に神の力を使っていた。
・32人を通り越した折、ふら付いた理由はそれ。
神の力を連続で行使し続けていたから。
・灰化を止める為、魔術式を使って魔力を送り続けていたこと。
・何万時間も予め溜めていたとしても消耗が速く、大変だったこと。
情報を与えて、落ち着いていざ周りを見渡した後…変化が訪れた。
「無事でよかったよ!」と声をかけてくる周囲へ、ケイトは笑みと「ありがとう!」と言葉を返した。
しかし…5000を超すほどの人達に囲まれていた…それが、始まりだった。
いきなり街の人達に言いたかった言葉が口をついて出てきた理由についてはわかっている。
男『心さえ許したら股を開くってか?』にやにや←1747ページ参照
十中八九、ああいう『ケイトを苦しめ続けた人間』と同じタイプに会ったせいだ…
思念の渦に叩き込まれた感覚、その直後…唐突にフラッシュバックした。
『ほら吹き』
『死ねばいいのに』
ケイトの瞼に、周囲から声がかかるそれが浮かぶ。
助けて欲しくて出した声、それすらもほら吹きと一笑に付され哂われる。
苦しんでいる間も笑う。父に苦しまされても笑う。
周囲は日常を味わい笑い、包帯で巻かれて通学しても笑っていた。
ケイトにとって傷付けてこない人:自ら接し傷付けてくる人が1:100で
それが…恐怖(トラウマ)を植え付けた。