第48章 死
精霊王「わしでは無理じゃ」
『!!』
精霊王「一度その事象が起これば、それを無とすることはできぬ。神でもない限りはな」
『…』
精霊王「わしがやっても、半分が灰に、半分が生者になる程度しかできぬ。
精霊神ならば…あるいは…」
フィン「なら」
精霊王「だが一つ、問題がある。
――ケイトをそうしたのは誰じゃ?」
フィン「…それは」俯
言わずもがな…人間だった。
精霊王「人間じゃ。
何故精霊王の森、精霊神の森では人間が爪弾き者にされるかわかるな?
邪悪そのものだからじゃ。自らの利益の為ならば汚いことも平気でできる。
必要のない殺しなども笑って行い、下卑た笑みで自らは捕食者側だとほくそ笑む。
他の心も体も、何も考えずに貪り食い、いいように他と束になって食い散らかす。
他の動物とは違って穢れを持ち、踏み付けにされる他など顧みん。
人の欲望は尽きぬ。あれもこれもと求めてはまだ足りぬと餓鬼の如く搾取し続けるだけよ。
だからこそ人と会うことそのものをも拒み、結界を張った。人間が決して入れぬように。
それとは違い、ケイトは純粋じゃ。動物だからと差別せず、笑って受け容れ、静かに寄り添う。
動物から差別を受けんほどに、真っ直ぐで、純粋な…損をしてもなお、助けようとする馬鹿者じゃ。
そんなあやつならば、まだ会える見込みもあるだろう。
フィンよ…お前は、純粋か?」
フィン「僕には……
無理だ…ああはなれない」
精霊王「うむ。
だから…自力で身に付ける外ない。
時間の流れが違う、ここより早い場所で修業を積むしかない」
フィン「はっ!)修業空間!」
精霊王「ぱっぱと行け!」
フィン「だが!今行けば時間を止める力は誰が
リヴェリア「魔術式はないのか?」
フィン「!!…確か…確か、鍋敷きに魔術を書き込んでいた紙があった。
美味しい時間の状態のまま、その上に置かれたものの時間を止めると」
『それだ!!』
それに周囲が沸き上がる中、僕は即座に頭を振った。
物を対象にするもの…
それは人、すなわち生物には使えないだろうと。