第48章 死
ロキ・ファミリア、本部…
黄昏の館、中庭。
ベンチに座り、風を受けながら…ティオナは呟いた。
ティオナ「もっと…別のやり方ってなかったのかな?」
フィン「ん?」
ティオナ「だってさ…以前は、誠実な医師だったんでしょ?
もっと別のやり方で…蘇らせられなかったのかな?」
ケイト「ない」きっぱり
『!』
ケイト「はっきり言って…死者を生者へ引き戻すことなどできない。
たとえできたとしても、それは死者の冒涜であり命への冒涜でもある。
他のやり方で降霊させたとして、ずっとそのままでは降霊させた生者が人生を歩めなくなる。
生きていた頃のように過ごすなど…到底できるはずもない」
ティオナ「でも30分以内ならケイトは蘇らせられるんだよね?」
ケイト「そりゃ…体があったらね?
まだ酸素を体へ送り込んで体を生きている状態に戻せるラインがそこというだけで…
死に立てほやほやじゃない限りは、はっきり言って無理なんだ」
ティオナ「じゃあ…病気なら?」
ケイト「状況によるよ。寿命なら蘇らせるのは決して無理なんだ」
ティオナ「神の力を使っても?」
ケイト「……
その流れを…私個人が操作してもいいものなのか?
一人を許せば、誰も彼もが殺到するぞ?
蘇らせろと、瞬間移動して来てくれと、絶え間なく…世界中を飛び回らないといけなくなる。
この世に死者が無くなることは、決して在り得ないんだよ。
死者が生者になることも含めて。
寧ろ…死者のいない世界になったら、どうなる?
どうせ死にはしないと、他者を余計に顧みなくなるのがオチだろ?」
ティオナ「あ!確かに」
失念していたようで、言われるまで気付かなかったようだ。