第48章 死
後ろ手に縛られ、リヴェリアから押さえ込まれていたはずの医師…
その中で突如リヴェリアを腕で払い除け、襲い掛かってきたモンスター…
それが唸り声をあげながら話し出すと共に、医師へ僕達を近付けまいと暴れ出した。
ケイトを抱き抱えたまま、神の力を送り込み主導権を譲る。
その最中で…攻撃しようとする皆を止めた。もう…長くないのは、目に見えていた。
最後のお別れをさせてやろう、と諭して。
魔力の供給源であるケイトが抜け、命を共有し合っている状態だったバランスが急遽崩れた。
モンスターの体も、そう長くは持たない。
理外の力、神の力で切り離して強引に元へ戻すしかない。
しかし…世界に顕現させるにはあまりに強大過ぎる。
殊更、密室に近い洞窟内では出した余波だけで崩れかねない。
その為、ケイトでも斬り捨てる一瞬のみ触れた個所から送り込んで使用していた。
「…お前…なのか?」
子「…うん」
「……済まない…済まないっ!(ずさっ!)←跪く
あの日…もっと…もっと早く!家へ帰っていれば」
子「怖かったよ…?
けど…苦しくはなかったよ。
ちゃんと、父ちゃんはいてくれたから。心の中で、何度も笑いかけてくれたから(すっ)←医師へ手を指し伸ばす
だからね…大丈夫だよ(ぶちっ)←医師を縛る縄を千切る
それに早く帰ってきてたら、父ちゃんまで殺されちゃうよ?
そうならなくって…俺、本当に嬉しかった^^
そろそろ…お別れしないと」すっ
全長20mのモンスターの姿をした子が、自身の胸へ右手を伸ばす。
魔石のある位置へと…
「駄目だ!!!
それだけはやったら駄目だ!!」←腕へしがみ付く
子「頼むよ、どいてよ」
「駄目だ!!!!
頼む…頼むからっ」滂沱の涙&嗚咽
やっと会えたんだ!!としゃっくりを上げながら叫ぶ男に、子は視線を合わせ項垂れる。
子「でもさ…苦しいって言ってるんだよ。
さっきから、俺の中で声がするんだ。
この宿らせてくれてるモンスターがさ」
「そんなもの気にしなくていい!!(頭を振る)
俺は…俺はっ!お前と…元のように暮らしたいだけなんだ!!
たとえ何を犠牲にしようとも構わない!!!それ以外何も望まない!!!!」
その気持ちは…痛いほどに解っていた。
全てを一夜で失ったからこそ余計なのだろうと、思わされた。