第48章 死
「凄いだろう?」
アイズ「ケイトはどこ!!?」
壁にかけられた巨大な魔術式を見てから、眼鏡をかけた医師らしき男は僕達へ目を移して尋ねた。
移されるまで魔術式をまじまじと見つめながら男は笑みを浮かべており、アイズはそれに叫んだ。
「まあ落ち着きたまえ。
話をしようじゃないか」
フィン「攫っておいて!どの口が言う!!?」
リヴェリア「…」すっ
激昂と共に叫び詰め寄ろうとした所、リヴェリアに腕で制された。
いけない…
見えなくなっていた。
それが相手の狙いだとすれば、まんまと思うツボに嵌まってしまう。
男を睨み据え囲む陣形を取る中、僕は魔力を洞窟内全てへ薄く拡げて察知した。
研究員は道中に襲ってきた者以外、意識がある者は目の前の彼だけだと。
後は…ケイトらしき魔力の反応だけ。男の更に向こうにいる。
そこまで察知した所…男は変わらず淡々と語り出した。
「魔術式、彼女の作り出したそれは…まさに、芸術だった。
人へ降霊させる術式、それは成功だった。
だが…やはり、姿が違う。
その姿を霊の生前のそれに変えるのに一役買うのがモンスターだ。
人を台の上に縛り付けた上でそれを媒体として召喚させ、捧げられた命を代償に召喚者の言うことを聞かせる。
魔術式の中にそれらの命令式も組み込ませる。
モンスター召喚の後、その中に宿らせた人の姿をベースに『降霊した霊体の「体への定着」を固定化』、『「降霊した生前の姿」へと変換』させる為だ。
モンスターだけでは人へ変化できない。
かと言って人だけでは生前のそれへ形を変えられないからな。
しかし…人の姿には、どれだけ呼び掛けて自我を引き出したとして…魔力が無ければ姿が変わりはせず、少なければ途中で止まり不完全となる。
つまり…使用する実験材料が魔力が多い者であればあるほど、成功率は倍増する。
魔力量が上がれば上がるほど、召喚されるモンスターは強くなる!
降霊させた自我を引き出せれば、モンスターからその霊の姿になる術式が正常に働く!!
死者が蘇り、完全な生者となる!!!
ここまで言えば…もう、わかるだろう?
死者を生者へと変換させる。
それもノーリスクで、モンスターの力を有させ、強い力を持った状態でだ!
再び死者へ戻ることもない!!」