第48章 死
ケイト(神の力は…ダメだ…発動…できない)
「では血を貰うよ。針では傷付けられないが、悪露で助かったよ」
ケイト「やめっ!っ;」
注射器で今なお出続けている悪露の血を吸ったのか…
血の入った筒を壁に備え付けられている魔石灯の光にかざし、魔力を確認しているようだった。
純白な、治療院のような清潔な壁を思わせるそれとは対照的に…黒く笑みを浮かべる、眼鏡をかけた白衣姿の男性に…歪みを感じた。
「うん…やはりだ…魔力が大量にある!素晴らしい!!」
ケイト「なに…を、するきだ?」
「ああ。自己紹介がまだだったね。
僕はしがない、魔術をたしなむ医師だ。
名を、ラトバリタ・アリアロスという」
ケイト「これは…一体」ぐっぐっ
どれほど全力で引き離そうとしてもなお、決して自分からベッドから離れることはできなかった。
「これはね、重力を強めて指定した対象を縛り付ける術式なんだ。
力がどれほど強くとも、それと比例するように縛り付ける力もまた上がる。
手術のような作業をする際にも使用するんだよ。
動かれたらできないからね。
ただ、一つだけ注意点がある^^
僕達のような指定されていない人間は(そっ)←ケイトの右手首を掴む
容易く」ぐいっ←持ち上げる
ぼぎぎぎ
ケイト「あああああああああああああああああっ!!!!」
「このように剥がせる。
重力の影響もなく、ね」黒にやり
持ち上げられた右手首が複雑かつ粉々に骨折する音を間近に聞きながら、断末魔が上がる。
その中でもなお、まるで何気ない日常のように…黒く笑みを浮かべる医師に、戦慄を禁じえなかった。
「かけた本人が解除させない限り。効力はいつまでも続く」
ケイト「っ、ぅぅぅ」
「ああ、済まない。
だが、それほど時間が経たずとも治るのだろう?
大人しく眠っておいてくれ」
呻き声をあげる中、掛けられたその言葉を皮切りに…再び、意識が遠のいてゆく。
恐らく…睡眠ガスでも使ったのだろう、だがそれでもおかしい…
何故…体はこんなのも弱っている?全快状態ならまず効かない。
斬って、人を助けた後から体の調子が…何故、睡眠ガスが効くほどに弱まって……
そう思考がまどろんでゆき、十秒として持たず…私の意識は消失した。