第48章 死
フィン「ケイト!!?返事をしてくれ!」
どぉんっ!!!!
ビシシシシシッ!!
アダマンタイトの壁にひびが入っていく中、通路の奥から4人の白衣の男が走ってきていた。
そのフィンの叫びを耳に、研究員らしき男が舌打ちをする。
「ちっ」
ケイト(電流を流すと同時に男が怪我しないよう、護るよう魔力を送り込んでいたけれど…大丈夫…か…な……)がくっ
意識を手放すと同時に、抱えあげられた時特有の浮遊感を感じた。
「急げ!早く運ぶんだ!
2人がかりでいい!残りはこいつを始末しろ!」
がっがっ!!
「くそっ!刺さらねえ!」
「首もだ!」
「いいから付いてこい!急げ!!」
「「おお!!」」
4人が立ち去ってからほぼ30秒後、フィン達が辿り着いた。
例の気絶している男の白衣はズタズタで
服やズボン、特に急所には刺さらないよう魔力で覆われていた。
それもケイトの魔力で。
それを見た僕達は、研究施設とは無関係とは思えず、彼を後ろ手に縛り上げて壁を背に胡坐をかかせた。
それから程なくして、彼は意識を取り戻す。
「!…??」
フィン「状況に頭がついてきていないようだね)
命拾いしたね。
彼女が感電させた際に流し込んだ魔力が無ければ
今頃、心臓か首を刺されて死んでいたはずだ」
「!!」
フィン「見えるだろう?
白衣の刺し傷が、しつこく何度も刺されたようだね」
「……」
フィン「どういう研究施設なのか…教える気はないか?」
「…………」
フィン「こうしている間にも…ケイトは!)
(ギリッ)ケイトを何処へ連れ去った!?
目的は何だ!!?」←胸ぐらを両手で掴み叫ぶ
ティオナ「ちょっとフィン!;シーッ!」
洞窟の通路に響き渡る怒号に似た声…
それに止めようとする声が静かに響く。
リヴェリア「落ち着け。
気持ちはわかるが、声を荒げるな。
居場所を自ら伝えているようなものだぞ」
そう伝えた矢先、2体のモンスター…例の人が入っているそれが襲い掛かってきた。
中にいるだろう誘拐事件の被害者を殺すわけにもいかず、モンスターを殺すこと=中の人を殺すこととなる為、気絶させるよう注意しながら倒していくことになった。
僕自身、まだケイトのように器用に神の力を扱いこなせてはいなかったから。