第48章 死
フィン「嫌な言葉をずっと言われ続けるよりは遥かにマシだと思うのだけれどね?
僕は」
ケイト「説明不足?でももっと伝えたいことが
リヴェリア「伝えられても嬉しくないと感じる輩はいるだろう」淡々
ガレス「聞く耳持たずにいるじゃろうしな。
苦しんでいる最中で言われても、気にする余裕もない可能性も否めん。
お主がそうだったようにな…」
ケイト「…そうだね。
いっぱいいっぱいの頃って、乗り越えるだけで限界で…聞き入れるだけの余裕がない時ってあるもんね。
もし…もし、小さい時に会えていても…聞く耳持たなかったかもしれない」
『……』
ケイトの育った環境から考えて、それは大いにあり得た。
もし他の人に助けを求めたとばれれば暴力と暴言、DVが激化する。
死に掛けるほど精神的に参り続けたこと、他人は全て見て見ぬ振り、
父親の外面の良さに簡単に騙され、こちらの言い分もろくに聞かない。
等々の諸事情もあり、余計に精神的にも切迫し…誰も信頼できない、頼れない、
頼って助けられたとしてもそれは僅かな時間、一時だけ。
再び家に帰されて暴虐の目に遭わされ続ける日々に逆戻り、
その上で疑いをかけられるような行為を取ったことで、より強い暴虐が降り掛けられ続ける。
ただでさえ傷付けるような行為を生みの父へ何もしていなくとも、仕事で得た鬱憤を晴らす為に暴虐を尽くすような輩だ。
その後に取られる行動は、火を見るよりも明らか。
責任を持って助け続けよう等という変わり者もおらず
途中で知らず存ぜずを貫き、自らの日々が平和ならと笑っている輩しか居ない。
教えた所で笑っている、自らへかからない火の粉なのだからどうでもいいと笑っている。
そんな状況下で人へ頼れる人間に育つか否かと問われれば、間違いなく頼れない人間になるだろう。
血の繋がらない他人など、平気で見捨てる。
繋がっていてもなお生みの父は、傷付けて痛むそれを見てストレス発散とする輩なのだから。
人間など信頼するぐらいなら、頼るぐらいなら死んだ方がマシだと、根底に焼き付いてしまった。
それをすれば何をしてもいいと頼った相手、信じた相手からされ続けた。
その長年に渡る教訓、習慣と共に…。
何かすれば強くされることから、嵐が通り過ぎるのを待つように耐え忍ぶ他…ケイトと生みの母の選択肢は無かった。