第47章 初めての
男「心さえ許したら股を開くってか?」にやにや
ケイトを向きながら肘をついて、悪意を露わに下品なことを言う男に対し…
周囲の空気は一瞬で固まると共にピリつき、皆は白眼視していた……
ケイト「お前のような下賤な輩には開かんだろうさ。
たとえ幾度生まれ変わろうともな。
生憎…人の本質、魂を見抜く目だけは有しているようでね。
あの世とも波長がよく合うもんで、お前のそれもちゃんと見えてしまうのさ。
魂の明暗は、己が人へ犯した『業』によって変わる。
徳が低ければ低いほど暗く、傲慢で、浅はかで、人に対して不埒な行為・言動を抵抗なく行う。
お前は前世で人を殺してる。
それも、産まれながら強いられた環境で仕方なくとか」
ティオナ&ティオネ『!』
ケイト「大切なものを奪われた激情によるものじゃない」
リュー「!」
ケイト「そういうものとは、正反対に位置する。
お前のやっているそれは…
人の苦しむ様を見て、痛みに涙する様を見て喜ぶ類のそれだ。
そういう輩こそが地獄に落ち、次の来世にも持ち越していることも多い。それも非常に。
あの世に行けばわかることだが…そういう振る舞いをした代償は、高くつくぞ。
人を謗り、反応を見てせせら笑い、悪魔の如き所業を犯してもなお痛まない心。
それを是とし、自制しないからこそできる行為だ。
これはあくまで、ただの情報だ。
あの世に行く際、どうなるかは己の行動如何だと。罰が当たると、自身の定規で測る気はないが。
仕返しされなくて当然、同調されて当然、そんなのは…普通はない。
お前に憂き目に遭わされたくなくてやってる可能性も無じゃないだろうさ。
どうやったらそこまで積み重ねられる?
どうしたら傷付けられなくて当然だと思える?
傷付けられるのは嫌なくせ、傷付けて当然だと思える?
親切心から教えておくが…お前…今のままの状況が、いつまでも続くと思うなよ?
あの世では身分も何も関係ない。人へした言動で、等しく裁きは下る。
考えて考えて取った行動、今している行動、それらの経緯もちゃんと見定めた上でな。
霊界の位分けで地獄に配属されても知らん。これをずっと続けていれば地獄に落ちるってことだけ伝えておく。
ただ、地獄に近付くという点だけ」
食事の手を止めて淡々と語るケイトに…
僕らは黙ったまま、耳を傾けるばかりだった。