第47章 初めての
各階層にて『異端児の隠れ家』があり、20階層もその一つで未発見領域に存在するわけだが、それまでは伝えてはいない。
どこからともなく現れたていを、お互い装っている。
ケイト「正義、正しいと思うことも、善悪のそれも、人それぞれによって全て異なる。
己の思う基準が、育った環境、性格で変わってくるんだから当然だ」
アイズ「ケイト…
それよりも、一つ気になってることが…」
ケイト「ん?」むぐむぐ←パスタ食べ中
アイズ「あの魔力の斬撃、どうやっているの?
小さな刃を高速回転させるのはわかっているんだけれど…無となった暗闇の空間が見えたから」
ケイト「んー…
魔力はね、流動体なんだ」
アイズ「うん。知ってる、よ?」
ケイト「それの密度を上げていくと固体になり、一定の密度を超えるとその硬度はオリハルコンを超える。
その最終段階が、キマイラを斬り捨てた時のそれ。
魔力自身が堪えられる密度、その限界を超えるほどに圧縮された魔力の刃は、空間をも斬り裂くエネルギー体となる」
アイズ「エネルギー体?」
ケイト「わかりやすく言うと…
空気は圧縮していくと途中で止まるでしょ?」
アイズ「うん」
ケイト「それは空気における密度の限界、絶対量を示している。
それを強引に力を使って圧縮させたら?」
アイズ「力を抜いた時に押し返される。反動で」
ケイト「その反動さえも御し切れば?」
アイズ「!魔操作?」
ケイト「そう。
魔操作の発展アビリティが一定のランクを超すと、どれほど圧縮してもその反動までをも操作できる。
勿論、無にもね。
それによる影響を及ぼさない範囲を自身のみ、って感じにでも限定できるから、爆弾としても使えるんだ。
分子や原子という形、それを滅するほどに圧縮されたそれは
その反動に伴うエネルギー、エネルギーそのものと変わる。
物質以上に、空間そのものへ影響を齎すそれにね」
『なるほど…』
フィン「僕達が使っていたのはその技術の応用で、身に纏って鎧にした状態を維持し続けていたんだ。
分散は内にしてエネルギーも反動も一切消費せず、溜め込み続けてね。
そして敵と相対する時のみ、刃へ展開と共に斬り捨てる。
防御の際もまた同様に、消耗をその一瞬だけの凝縮させるんだ。
それによって、光速以上の推進を得ながら空間ごと斬り裂けたというわけさ」